展覧会

セカイノコトワリ―私たちの時代の美術

会場:京都国立近代美術館 会期:2025年12/20(土)〜2026年3/8(日)

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展覧会ポスター(セカイノコトワリ)
いまを生きるアーティストの作品をもとに
まるで「海図」のように現代社会を描き出す

京都国立近代美術館では現在、「セカイノコトワリ―私たちの時代の美術」が開催されている(2026年3月8日 [日] まで)。
アーティストとは、美術という手段を通して我々が生きる上で日々直面するさまざまな問題や、世界の根源的・普遍的な真理について気づかせてくれる存在である。この展覧会では、世界のグローバル化が進み、日本人作家の海外での発表の機会が増えた1990年代から2025年までの美術表現を中心に、20名の国内作家による実践が紹介される。現代社会を生きるアーティストそれぞれの思考や実践のアウトプットとしての作品を、「アイデンティティ」「身体」「歴史」「グローバル化社会」といったキーワードを手がかりに読み解き、あたかも航海上の潮流やうねり、未知の島との遭遇といった経験を記録した「海図」のような物語として描き出すことを試みるものだ

森村泰昌《星男(平安神宮にて)》画像

森村泰昌《星男(平安神宮にて)》 1990/2004年 京都国立近代美術館蔵 ©Yasumasa Morimura
Courtesy of the artist and Yoshiko Isshiki Office, Tokyo

出品作家(50音順)

青山悟、石原友明、AKI INOMATA、小谷元彦、笠原恵実子、風間サチコ、西條茜、志村信裕、高嶺格、竹村京、田中功起、手塚愛子、原田裕規、藤本由紀夫、古橋悌二、松井智惠、宮島達男、毛利悠子、森村泰昌、やなぎみわ

西條茜《惑星》画像

西條茜《惑星》 2024年 作家蔵 ©Akane Saijo 撮影:来田猛

竹村京《修復された地球儀の貯金箱》画像

竹村京《修復された地球儀の貯金箱》 2002–2021年 京都国立近代美術館蔵 ©Kei Takemura 撮影:守屋友樹

展覧会のポイント

アーティストの視点でとらえた、現代の世界の「コトワリ」とは?
古来より人間は、世界がどのような法則や真理にもとづいて成り立っているのかを考え続けてきた。美術もまた、アーティストの視点を通して、世界について思索し理解するための手段といえる。この展覧会のタイトルである「セカイノコトワリ」には、外来語や新しい概念をカタカナで表記するように、未知のものに対して解釈や意味づけを保留しつつ自らの思考を更新していく態度という意味が込められている。もはや今日では、「私たちの現在地はどこ?(Where Do We Stand?)」という問いに対する答えは、固定された単一の解ではない。他者と共有可能な拠りどころを探しながら生きていくために、生成AIや人工知能では答えられない、セカイノコトワリへと観る者を導く作品が、この展覧会では紹介される。

手塚愛子《閉じたり開いたりそして勇気について(拗れ)》画像

手塚愛子《閉じたり開いたり そして勇気について(拗れ)》(部分) 2024年
京都国立近代美術館蔵 ©Aiko Tezuka 撮影:守屋友樹


京都国立近代美術館が近年収蔵した日本の現代美術作品を中心に紹介

会場に展示されるのは、ヴェニス・ビエンナーレをはじめ国際的な発表経験のある実力派から、気鋭の若手作家までを含む20名による多様な表現。約70点の出品作のうち、京都国立近代美術館の所蔵作品がおよそ40点を占めている。ある意味で、2020年代以降に日本の現代美術の収集を積極的に進めてきた同館の成果を見る機会となるだろう。この展覧会では、コレクションをもとにキーワードを設定し、作家や他美術館からの借用作品を加え、作品同士のネットワークを「海図」のような物語として描き出すことが試みられる。

宮島達男《Monism/Dualism》画像

宮島達男《Monism/Dualism》 1989年 京都国立近代美術館蔵
©Tatsuo Miyajima


「失われた30年」に生み出された豊かな表現

出品作家が同時代として共有する1990年頃から2020年代は、まさに日本社会が「失われた30年」と称される時期と重なり、不景気や震災、国際紛争、インターネットの普及など、社会や生活上の変化を目の当たりにした時代であった。
アーティストが生み出す作品には、こうした時代背景が反映されている。藤本由紀夫《SUGAR I》(1995年)は、1995年の阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件という日本社会を揺るがす出来事を契機に着想され、ガラス管の中で少しずつ崩れてゆく角砂糖が、日常の脆さや壊れやすさ、そして日常の異変はシームレスに起こりうることを伝えるものだ。また青山悟や西條茜は、2020年からのコロナ禍で強く意識された他者との距離感や呼吸、マスクを作品のモチーフとしている。一方、グローバル化が進み、日本の現代美術の海外での発表の機会が増えたことで、笠原恵実子、青山悟、田中功起、手塚愛子、竹村京など海外へと拠点を移す作家も現れた。作家たちは国際的な美術動向にじかに触れながら、それぞれのキャリアを重ねているのである。

藤本由紀夫《SUGAR I》画像

藤本由紀夫《SUGAR I》 1995年 西宮市大谷記念美術館蔵 ©Yukio Fujimoto


記念碑的インスタレーションの再展示

1990年代以降、現代美術の主流となったのが、多様な素材で空間を構成するインスタレーションや、写真・映像メディアを用いた表現だった。今回の展覧会では、これまで展示の機会が限られていたインスタレーションの重要作品も紹介される。寓意的なインスタレーションを手がけた先駆的存在として知られる松井智惠による、オリジナルが完全な形で現存する稀少な作例の一つ《LABOUR》シリーズ(1993年)は、言葉や鏡、辞書、衣装、オブジェを組み合わせて空間に配置した作品で、アーティストの労働や苦痛といった身体的経験が可視化されたもの。石原友明《世界。》(1996年)は、点字が刻まれた金属板の床を、人工的な太陽としてのシャンデリアが照らし出すインスタレーション作品。鑑賞者の触覚と視覚が交互に誘発される装置として構想されたこの作品は、2004年の個展以来、21年ぶりの展示となる。日用品をブリコラージュ的に組み合わせ、重力や光、音など目に見えない現象やエネルギーを取り込んだ作品を得意とする毛利悠子。ポンピドゥー・センターにも収蔵された《Parade》(2011‒17年)は、テーブルクロスに描かれた図案を譜面としてコンピューターに読み込ませ、電流に変換することで、アコーディオンやドラム、風船、オブジェなどがユーモラスに動き出し、アンサンブルを奏でる作品だ。

石原友明《世界。》画像

石原友明《世界。》 1996年 作家蔵 ©Tomoaki Ishihara


本展に合わせた新作を発表

この展覧会では、田中功起、毛利悠子、藤本由紀夫による美術館の空間に合わせた新作の展示も予定されている。田中功起は「PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015」で発表した《一時的なスタディ:ワークショップ#1「1946-52年占領期と1970年人間と物質」》を京都では10年ぶりに展示する。これは第二次世界大戦後のアメリカ占領期の歴史などに注目し、高校生とのワークショップを記録した映像作品。今回、この作品に協力した当時の高校生5名を再び集めて撮影された新作《10年間(仮)》では、それぞれの立場でこの10年間を振り返りながら、歴史や人権、そして共生社会について考える、等身大の日本の現状が浮かび上がる。

田中功起《taggame》画像

田中功起《taggame》 2024年 Commissioned by “The Air We Share” at the Deutsches Hygiene-Museum Dresden (2024–2025) ©Koki Tanaka

イベン

アーティスト・トーク「In Our Time」
会期中、出品作家が集まって本展のキーワードについて自由に語るトークシリーズ
【 1 】2025年12月20日(土)「日常、偶然性、脆さ」 藤本由紀夫 × 竹村京 × 毛利悠子
【 2 】2026年1月12日(月・祝)「産業、手仕事」 青山悟 × 手塚愛子 × 志村信裕
【 3 】2026年1月24日(土)「寓話、労働、アイデンティティ」 森村泰昌 × 松井智惠 × やなぎみわ
【 4 】2026年2月11日(水・祝)「身体性と知覚」 石原友明 × 小谷元彦 × 西條茜
【 5 】2026年2月28日(土)「歴史と社会への眼差し」 笠原恵実子 × 風間サチコ × 原田裕規
時間:各回14:00〜15:30(開場:13:30)
会場:京都国立近代美術館 1階講堂
定員:先着80名 ※当日11:00より1階受付にて整理券を配布
参加費:無料(要観覧券)
※日程や登壇者は都合により変更される場合あり

風間サチコ《McColoniald:世界の山師》画像

風間サチコ《McColoniald:世界の山師》 2003年 京都国立近代美術館蔵 ©Sachiko Kazama 撮影:宮島径


感覚をひらくワークショップ

見える人と見えない人のおしゃべり鑑賞会(仮称)
日時:2026年2月8日(日)(予定)
講師:光島貴之
※詳細は決まり次第、京都国立近代美術館のホームページ等で告知

AKI INOMATA《やどかりに「やど」をわたしてみる》画像

AKI INOMATA《やどかりに「やど」をわたしてみる –Border–(ラ・リューシュ、パリ)》 2024年
京都国立近代美術館蔵 ©AKI INOMATA 撮影:若林勇人

[information]
セカイノコトワリ―私たちの時代の美術
・会期 2025年12月20日(土)~2026年3月8日(日)
・会場 京都国立近代美術館
・住所 京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
・時間 10:00〜18:00(金曜日は20:00まで) ※入館は閉館の30分前まで
・休館日 月曜日(ただし1月12日、2月23日は開館)、12月30日(火)~1月3日(土)、1 月13日(火)、2月24日(火)
・観覧料 一般1,500(1,300)円、大学生700(600)円
※()内は20名以上の団体及び夜間割引(金曜18:00以降)
※上記料金でコレクション展も観覧可能
※高校生以下・18歳未満は無料(入館の際に学生証、年齢の確認ができるものを提示)
※心身に障がいのある方と付添者1名は無料(入館の際に障害者手帳等を提示)
※ひとり親家庭の世帯員は無料(入館の際に証明できるものを提示)
・TEL 075-761-4111
・URL https://www.momak.go.jp/