展覧会

ガウディとサグラダ・ファミリア展

会場
東京国立近代美術館
会期
6/13(火)~9/10(日)

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スペインのバルセロナで活躍した建築家アントニ・ガウディ(1852〜1926)。一度見たら忘れることのできないそのユニークな造形の建築は、様々な芸術分野に影響を与え、今なお世界中の人々を魅了し続けている。
中でも、ガウディの代名詞とも言える代表作サグラダ・ファミリアは、「未完の聖堂」としてあまりにも有名だ。それがいよいよ、完成の時期が視野に収まってきたという。

東京国立近代美術館で開催される「ガウディとサグラダ・ファミリア展」では、ガウディの建築思想と創造の源泉に迫る。そして、この壮大な聖堂のプロジェクトが持っていた社会的意義を解き明かす。

サグラダ・ファミリア聖堂、2022年12月撮影画像

サグラダ・ファミリア聖堂、2022年12月撮影
©Sagrada Família

 

サグラダ・ファミリア聖堂は、民間のカトリック団体が贖罪教会として計画し、1882年に着工した。当初の設計は建築家のフランシスコ・デ・パウラ・ビリャールだったが、意見の対立から辞任。その後を継いだのが、アントニ・ガウディだった。ガウディは1926年に亡くなるまでライフワークとしてサグラダ・ファミリア聖堂の設計・建築に取り組んだという。
ガウディの死後、1936年に勃発したスペイン内戦により設計図や模型が散逸し、構想を完全に実現させることが不可能となった。しかし職人による口伝えや外観の大まかなデッサンなど、残されたわずかな資料を元に、その時代の建築家がガウディの設計構想を推測するという形で、建設が続行されることとなった。

サグラダ・ファミリア聖堂、2023年1月撮影画像

サグラダ・ファミリア聖堂、2023年1月撮影
©Sagrada Família

 

完成すれば18の尖塔せんとうがそびえ立つ予定のサグラダ・ファミリア聖堂。新型コロナウイルスの影響で建設が一時中断していたが、2020年の秋には再開した。翌年の12月には、聖堂の中央に位置する6つの塔のうち、頂点に星を頂くマリアの塔が完成。マリアの塔は138メートルと、最も高いイエスの塔172メートルに次ぐ高さだ。
また、2022年12月には4つの福音書作家の塔のうち、ルカとマルコの塔が完成。建設作業は現在も進んでおり、残るマタイとヨハネの塔は2023年11月に、聖堂中央のイエスの塔は2026年までの完成を予定しているという。

この展覧会の見どころ

ガウディの創造の源泉を探る

《ガウディ肖像写真》画像

《ガウディ肖像写真》
1878年、レウス市博物館

スペインはカタルーニャ地方のレウスに生まれたガウディ。バルセロナ市内に点在するカサ・ビセンス、グエル公園、カサ・バッリョ、カサ・ミラ、サグラダ・ファミリア聖堂など、世界遺産に登録された建築群で知られている。

しかし、ガウディはゼロから独創的な建築を創造したわけではなかった。その飛躍は、西欧のゴシック建築やスペインならではのイスラム建築、さらにカタルーニャ地方の歴史や風土など自らの足元を深く掘り下げることで、時代や様式を飛び越える革新的な独自の形と法則を生み出したのだ。「歴史」「自然」「幾何学」の3つのポイントから、ガウディの発想の源泉を探る。

《植物スケッチ(サボテン、スイレン、ヤシの木)》画像

アントニ・ガウディ《植物スケッチ(サボテン、スイレン、ヤシの木)》1878年頃、レウス市博物館

 

サグラダ・ファミリア聖堂の建設プロセス
この聖堂建設プロジェクトは誰が発案し、その後どう変遷したのか──
模型を修正しながら聖堂の形と構造を探ったガウディ。彼の独自の制作方法に注目するとともに、140年を超える長い建設の過程でガウディ没後にプロジェクトを引き継いだ人々の創意工夫にも光を当てる。

《サグラダ・ファミリア聖堂、全体模型》画像

《サグラダ・ファミリア聖堂、全体模型》2012-23年、制作:サグラダ・ファミリア聖堂模型室、サグラダ・ファミリア聖堂
©Sagrada Família

 

総合芸術としてのサグラダ・ファミリア聖堂の豊かな世界を紐解く
サグラダ・ファミリア聖堂において、ガウディが取り組んだ仕事は多岐にわたる。聖書の内容を表現する彫刻の制作や外観・内観の光と色の効果、建物の音響効果にも工夫を凝らし、諸芸術を総合する場として聖堂を構想していたのだ。
本展では、ガウディの彫刻術にも焦点を当てることで聖堂の豊かな世界に迫る。

《サグラダ・ファミリア聖堂、降誕の正面:女性の顔の塑像断片》画像

アントニ・ガウディ《サグラダ・ファミリア聖堂、降誕の正面:女性の顔の塑像断片》1898-1900年、サグラダ・ファミリア聖堂
©Sagrada Família

 

サグラダ・ファミリア聖堂の壮麗な空間を空中散歩
NHKが撮影した高精細映像やドローン映像を駆使して、肉眼では捉えられない視点で聖堂を散策。ステンドグラスを通過した光が聖堂内を彩る景色の変化も圧巻だ。
マリアの塔が完成し、いよいよイエスの塔の建設という最終段階に向かうサグラダ・ファミリア聖堂の現在の姿を、最新の映像を通して伝える。

サグラダ・ファミリア聖堂内観画像

サグラダ・ファミリア聖堂内観 ©Sagrada Família

 

本展では、サグラダ・ファミリアの図面のみならず、膨大な数の模型を作ることで構想を展開していったガウディ独自の制作過程や、多彩色のタイル被覆、家具、鉄細工装飾、そして彫刻を含めたガウディの総合芸術志向にも注目する。
100点を超える図面、模型、写真、資料に加え、最新の技術で撮影された建築映像も随所に交えながら、時代を超えて生き続けるガウディ建築の魅力に迫る。ぜひこの機会に足を運んでほしい。

《クメーリャ革手袋店ショーケース、パリ万国博覧会のためのスケッチ》画像

アントニ・ガウディ《クメーリャ革手袋店ショーケース、パリ万国博覧会のためのスケッチ》
1878年、名刺の裏、レウス市博物館

 

[information]
ガウディとサグラダ・ファミリア展
・会期 2023年6月13日(火)~9月10日(日)※会期中に一部展示替えあり
・会場 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
・住所 東京都千代田区北の丸公園3-1
・開館時間 10:00〜17:00(金・土曜日は10:00〜20:00)※入館は閉館の30分前まで
・休館日 月曜日(ただし7月17日は開館)、7月18日(火)
・観覧料 一般2,200円、大学生1,200円、高校生700円
※中学生以下、障がい者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障がい者手帳等をご提示ください。
※キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は、学生証・職員証の提示により各200円引きでご鑑賞いただけます。
※本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)もご覧いただけます。
・TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル/9:00~20:00)
・URL https://gaudi2023-24.jp/