展覧会

倉敷市立美術館 コレクション展
池田遙邨名作展

会場
倉敷市立美術館
会期
7/23(土)~10/10(月・祝)

93年という長い人生を描くことに捧げてきた
倉敷ゆかりの日本画家、池田遙邨の名作に出会う

池田遙邨《行きくれてなんとここらの水のうまさは 山頭火》画像

池田遙邨《行きくれてなんとここらの水のうまさは 山頭火》 1988年

観光地としても名高い倉敷美観地区のほど近くに立つ倉敷市立美術館。同館は1960(昭和35)年、倉敷市の市庁舎本館として建設された。設計は世界的建築家、丹下健三。彼は次のようなコメントを残している。「倉敷市の伝統と近代的発展にふさわしい、しかも市民のよりどころになるにふさわしい建物をと思って設計した」
その後、1980(昭和55)年に倉敷市は池田遙邨ようそんから日本画・素描489点の寄贈を受けた。それをきっかけに、市町村合併による新庁舎移転で使われることがなくなった旧庁舎を、改修のうえ美術館に転用することが決定。1983(昭和58)年には倉敷市立美術館が開館した。

池田遙邨は、1895(明治28)年岡山県に生まれた(当時の本籍は倉敷市玉島)。幼少期から絵を描くのが好きで、15歳の頃大阪に出て洋画を学び、19歳となった1914(大正3)年には水彩画『みなとの曇り日』で第8回文展に初入選を果たす。
しかしその後は、同郷の小野竹喬との出会いなどから次第に日本画に接近。1919(大正8)年には京都にある竹内栖鳳の画塾・竹杖会で本格的な日本画の修行に入る。そして、この年の第1回帝展に『南郷の八月』が入選し、日本画壇にデビューしている。さらに1928(昭和3)年の第9回帝展で『雪の大阪』が、1930(昭和5)年の第11回帝展では『烏城』が特選となり、大和絵を新解釈したその清新な作風は高く評価された。
一時の成功に安住せず、時代とともに作風が変化しながら新たな展開を見せていく遙邨芸術。晩年には漂泊の俳人・種田山頭火に心を寄せ、その句境の絵画表現に挑んだ、いわゆる「山頭火シリーズ」に情熱を傾けた。

1976(昭和51)年に日本芸術院会員に選ばれ、1984(昭和59)年に文化功労者として表彰された遙邨。1986(昭和61)年には倉敷市名誉市民となるなど日本画壇の内外で愛される存在であったが、1988(昭和63)年9月26日、93歳の誕生日を目前に急性心不全のため他界した。

これまでも倉敷市立美術館では、今では8,000点を越えるまでになった同館の遙邨コレクションの中から、選りすぐりの名作を展観してきた。現在も「池田遙邨名作展」と題し、『森の唄』『なぎさ』『唐津 虹の松原の印象(しぎ)』そして山頭火シリーズの『行きくれてなんとここらの水のうまさは 山頭火』などの秀作が紹介されている。
その長い生涯を画業一筋に貫いた倉敷ゆかりの画家の作品を、モダニズム建築の傑作ともいえるこの美術館で堪能してほしい。

倉敷市立美術館外観

倉敷市立美術館外観 写真撮影:森昌史

関連企画

◎担当学芸員によるギャラリートーク
日時:8月21日(日)、9月24日(土) いずれも 14:00~(40分間程度)
場所:倉敷市立美術館2階 第2展示室
※当日の観覧券が必要

[information]
倉敷市立美術館 コレクション展 池田遙邨名作展
・会期 2022年7月23日(土)~10月10日(月・祝)
・会場 倉敷市立美術館2階 第2展示室
・住所 岡山県倉敷市中央2丁目6-1
・時間 9:00〜17:15(入館は16:45まで)
・休館日 月曜日(ただし、9月19日[月・祝]と10月10日[月・祝]は開館)、9月20日[火]
そのほか、臨時休館する場合あり
・観覧料 コレクション展(特別展料金は別途設定):一般210円、高大生100円、小中生50円
倉敷市内の小中学生、65歳以上の方および障がい者と付き添いの方1名、などは無料(要証明書)
※観覧料についての詳細は美術館へお問い合わせください。
・TEL 086-425-6034
・URL https://www.city.kurashiki.okayama.jp/kcam/

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