アーティスト

寺野 葉 インタビュー
-注目の若手日本画家-

寺野葉『まつ』

《まつ》 2022年 岩絵具、水干絵具/高知麻紙 194.0×667.0cm(「令和3年度 第45回 東京五美術大学連合卒業・修了制作展」出展作品)

武蔵野美術大学在学中から数々の作品発表や受賞を重ね、新進気鋭の作家として注目を集めている寺野葉。
国立新美術館(東京・六本木)で開催された「令和3年度 第45回 東京五美術大学連合卒展・修了制作展」では、寺野の大作『まつ』が武蔵野美術大学エリアの最初を飾った。この作品は現在アートスペース羅針盤(東京・京橋)で開催中の個展「◎ にじゅうまる」(4月16日まで)で観ることができる。

伝統的な日本画の技法を用いながらも、現代的なモチーフを織り交ぜて制作される独特の世界観が魅力的な彼女の作品は、多くの人々を魅了している。
このインタビュ−では、彼女が日本画を描くようになった理由
東京・日本橋のREIJINSHA GALLERYで現在開催されている個展(4月22日まで)についてもたずねた。

現在の制作スタイルに至るまで

──いつ頃から美術や絵に興味があったのでしょうか? 絵を志そうと思ったきっかけを教えてください。

幼い頃から絵が好きで、紙とペンがあればずっと絵を描いているような⼦供だったので、その頃から作家になりたいと考えていました。

──様々な絵画の技法の中から、なぜ日本画を選ばれたのでしょうか?

幼い頃からよく両親と美術館の展覧会に行っていたのですが、その中で特に惹かれた作品が日本画だったので、大学進学の際には日本画を専攻しました。

──日本画の魅力についてお聞かせください。

日本画の魅力は、テクスチャーの表現の幅がとても広いことです。

作品制作について

──何がインスピレーションの源となっているのでしょうか?

日常生活の中にあるものや事象を、モチーフとして絵で表現してみたいと思うところから発想を得ています。

──絵の中の人物や動物にモデルはいますか?

基本的にはモデルはいません。人物に関しては、儚さと強さが共存するような人物を目指して表現しています。

──制作のテーマや、作品に共通する考えなどがあれば教えてください。

作品の主題の他に隠れたキャラクターのようなものをいつも描いているのですが、主題だけではなく、そのキャラクターにも気付いていただけたら嬉しいです。

寺野葉《テラノサウルス》

《テラノサウルス》2021年 岩絵具、水干、箔/雲肌麻紙 24.2×33.3cm

 

REIJINSHA GALLERYでの個展「○」について

──新作はどのようなことを意識して制作しましたか?

展示名が「○」ということで、モチーフも丸みを帯びたものや丸に関係するものなど、「○」を意識して制作しました。また、この展示名には武蔵野美術大学大学院を修了することを意味する「。」と、「0」からの出発という意味も込めています。

──今展の作品を制作する中で、自分の中での気づきや変化はありましたか?

円形のパネルなど、変形パネルを使った作品を初めて制作してみて、今後の表現の広がりを感じました。

──今回の作品で、最も成功したと感じる作品はどれですか? また、その内容についてお聞かせください。

特に食べ物のモチーフの作品は自分の作風にマッチしたように思ったので、これからも挑戦していこうと考えています。

寺野葉《米すたー》

《米すたー》 2022年 岩絵具、水干/雲肌麻紙 22.7×15.8cm

これからのこと

──今後、挑戦してみたいモチーフやテーマはありますか?

動物や人物など自然物を描くことが多いので、人工的なモチーフにも挑戦してみたいです。

──作品を通してどのようなことを表現し、伝えたいですか?

絵を鑑賞する人が、見ていて楽しくなる作品になるよう、日常生活をテーマにした作品の探究を進めていきたいと思います。

 

 

寺野葉ポートレイト寺野 葉 [Yo Terano]
1997年大阪府生まれ。
2017
ACT ART COM アート&デザインフェアー2017 リキテックス賞受賞(The Artcomplex Center of Tokyo)

第13回0・SM公募大賞展奨励賞受賞(世界堂ビル/東京)
二人展「クジラと少女」(ギャラリー来舎/東京)
KENZAN2017 ギャラリー賞受賞(玉川高島屋S.C/東京)
2018
ヤングアーティスト公募展いい芽ふくら芽2019入選(松坂屋名古屋店/愛知)

第18回福知山市佐藤太清賞公募美術展佐藤太清賞受賞(巡回/神奈川、東京、京都、愛知)
五美術大学交流展アジア創造美術賞受賞(国立新美術館/東京)
若手アーティストのWA2018アートのチカラぷち!(伊勢丹新宿店/東京)
二人展「on」(寺町美術館/東京)
山本冬彦推薦作家展(東京九段耀画廊)
KENZAN2018(東京芸術劇場)
2019
FACE2019 損保ジャパン日本興亜美術賞展入選(東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館/東京)

Seed山種美術館日本画アワード2019入選(山種美術館/東京)
公益財団法人佐藤国際文化育英財団第29期奨学生
第5回石本正日本画大賞展入選(浜田市立石正美術館/島根)
日本画五人展モダンアート企画(柴田悦子画廊/東京)
二人展「21グラム」(コート・ギャラリー国立/東京)
modern art produce 銀座MOGA展(柴田悦子画廊/東京)
かぜの会 Vol.2(東京九段耀画廊)
KENZAN2019(新宿パークタワー内/東京)
2020
春まんぷく!お年賀展2020(FEI ART MUSEUM YOKOHAMA/神奈川)

東京五美術大学連合卒業・修了制作展(国立新美術館/東京)
武蔵野美術大学造形学部日本画科卒業
武蔵野美術大学大学院修士課程美術専攻日本画コース入学
2021
アートのチカラ(伊勢丹新宿店/東京)※’19、’20年出展

個展「MASS」(石川画廊/東京)
30の顔2021(REIJINSHA GALLERY/東京)
2022
猫れくしょん(秋華洞/東京)

東京五美術大学連合卒業・修了制作展(国立新美術館/東京)
武蔵野美術大学大学院修了
個展「○ まる 寺野葉展」(REIJINSHA GALLERY /東京)
個展「◎ にじゅうまる 寺野葉展」(アートスペース羅針盤/東京)
現在、東京都にて制作

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[information]
○ まる 寺野葉展
・会期 2022年4月8日(金)〜 4月22日(金)
・会場 REIJINSHA GALLERY
・住所 東京都中央区日本橋大伝馬町13-1 PUBLICUS×Nihonbashiビル1F
・電話 03-5651-8070
・時間 12:00〜19:00(最終日は17:00まで)
・休廊日 日曜、月曜、祝日
・URL https://www.reijinshagallery.com

◎ にじゅうまる 寺野葉展
・会期 2022年4月11日(月)〜 4月16日(土)
・会場 アートスペース羅針盤
・住所 東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F
・電話 03-3538-0160
・時間 11:00〜19:00(最終日は17:00まで)
・休廊日 会期中無休
・URL https://rashin.net

今後の展覧会予定
■4月28日(木)〜5月1日(日) 「Onimaru Joint Artwork Exhibition 」(Hz-shibuya/東京)
■5月7日(土)〜5月16日(月) 「山本冬彦が推薦する若手作家小品展Ⅷ」(ギャラリー枝香庵/東京)