アーティスト

猫専門イラストレーター 
Coony インタビュー 

猫専門イラストレーターCoonyの人気を広めた
ブランド「ねこねこチーズケーキ」

猫専門イラストレーターのCoonyクーニー。実際の猫をモデルに描かれたデジタルアートは、それぞれの個性や表情を的確に捉えており、吸い込まれそうな瞳が最大の魅力だ。ファッショナブルな感性で描かれた彼女のイラスト作品は、スイーツやグッズなど、様々なものとコラボレーションし注目されている。

Coonyがイラストを手掛けた「ねこねこチーズケーキ」の箱

Coonyがイラストを手掛けたブランド「ねこねこチーズケーキ」の箱

Coonyがイメージキャラクターや商品パッケージのイラストを手掛けたブランド「ねこねこチーズケーキ」。この店ではねこの形をしたチーズケーキを販売している。同じくねこ型の食パン専門店「ねこねこ食パン」の姉妹ブランドとしても知られている同店は、2020年、東京・自由が丘に1号店をオープンした。見た目の可愛らしさだけでなく本格的な味も評判となり、現在は全国で幅広く店舗を展開している。

  • Coonyがイラストを手がけた「にゃんチー」のパッケージと猫
    Coonyがイラストを手掛けた「にゃんチー」のパッケージと猫

ブランドイメージキャラクターの2匹のシャム猫「ブリー」と「モー」は、“チーズの王様”ともいわれる「ブリー・ド・モー」がふんだんに使われていることから名付けられたという。「ねこねこチーズケーキ」から発売されている「にゃんチー」や「ふぃにゃんシェ」などの箱には様々な種類の猫があしらわれ、人気を博している。

さらに、2022年2月22日には関東・中部・東海・北陸のファミリーマートで、ねこねこチーズケーキのキャラクター「ブリー&モー」のイラストを使用した「にゃんともおいしいチーズケーキ」が数量限定で発売された。鎌倉時代の1222(貞応元)年2月22日以来「2=ニャ―」が6つ並ぶことから、巷では「スーパー猫の日」と言われたこの日。Coonyは自身のInstagramで「次は200年後と言われている記念すべき2尽くしの2022年2月22日に…なんと素敵なことでしょう」とコメントしている。即日に完売する店舗が続出し、その後、同年5月17日に再販されるほど反響があったようだ。

  • 「にゃんともおいしいチーズケーキ」パッケージ
    「にゃんともおいしいチーズケーキ」パッケージ

売上の一部を保護猫活動に寄付しているという愛猫家のCoony。今回のインタビューでは、作品制作だけでなく、猫の保護活動や今後の目標についても尋ねた。

猫愛のなせる技!
作家活動未経験からイラストレーターへ

──どのようなきっかけでイラスト制作をはじめられたのでしょうか?

私自身猫が好きで、保護猫の預かりボランティアを含め4匹の猫たちと暮らしています。ある時、会社の憧れの女性の先輩が猫好きだと知り、その方に気に入られたい一心で彼女の愛猫さんを描いてみたのがはじまりです。イラスト制作は未経験でしたが、プレゼントしてみたところ、大変喜ばれ、「これだけ上手に描けるのなら何かやった方がいい!」と褒めていただき、調子に乗ってインスタグラムを開設しました。
※保護猫の預かりボランティアとは、1ヶ月から2ヶ月、半年間から1年などの限定された期間、保護された猫たちの一時的な飼育管理をおこなうボランティアのこと。

制作を始めるきっかけとなった先輩の愛猫「スワ」のイラスト

制作を始めるきっかけとなった先輩の愛猫「スワ」のイラスト

──作品はどのように制作されているのでしょうか?

ソフトはAdobe Illustratorを使用したデジタルアートです。マウスをシャカシャカと動かしてドローイングしています。実在する猫ちゃんの飼い主さんからオーダーをいただいて描いているので、まずは写真をいただき、それを元に簡単にあたりを取り、すぐに本番のドローイングに入っていきます。ラフは描きません。ただし、イラストを含むパッケージデザインのお仕事の場合にはラフを描き、クライアントさんとすり合わせをしていきます。

──制作するときはどのような点にこだわっていますか?

目を描くのに一番こだわっています。今にも動き出しそうな感じや、目が合った時にドキッとするように描きたいと常に思っています。私自身、猫さんの目はとっても好きなパーツです。透明感があり、うるうる・キラキラしていて、かつ吸い込まれるような配色でとても神秘的だからです。

──猫をモチーフにしたいと思った理由をお聞かせください。

猫好きなのはもちろん、猫の殺処分を減らしたいと思ったからです。私の絵の売上の一部は保護猫活動のために寄付しています。犬や人、他の動物を描いてくれないかというリクエストもいただきますが、活動としてわかりやすいように“猫専門”でいくことに決めました。

──Coonyさんにとって、猫とはどのような存在ですか?

“一緒に暮らす相手”としては、同居している「家族」です。程よい距離感が心地良く、私の性格や生活スタイルと、猫の特性がマッチしているように思います。お互いコミュニケーションを取りたいときは近づくし、それぞれプライベートな時間も楽しんでいます。
“イラストのモデル”としては、とにかく何をしていても様になる!完璧!最高に美しい生き物だと思います。どの子も本当に素敵で、毎回「撫でたいなぁ〜」と思いながら描いています。特に目の綺麗さと真っ直ぐな眼差しにはドキッとします。

  • 保護猫出身のミノ
    保護猫出身のミノ

──猫との忘れられない思い出をお聞かせください。

最初に迎えたのは保護猫出身のミノです。ミノとの出会いが今の活動の本当のはじまりなんだと思います。里親募集サイトでミノを見つけ、会いに行くと保護猫を預かるボランティアさんのおうちでした。そこには10匹近くの猫がいました。そこでお話をする中で、東京には“保護猫”という、家族を待つ猫たちがたくさんいることを知りました。時代にもよると思いますが、私が育った環境では段ボールに入った“捨て猫”たちを誰が引き取るか、近所で募集するのが一般的だったので、東京に来てはじめて保護猫の存在を知りました。その時に、私にも何かできることはないかと考えたのを今でも覚えています。

──作品を通して表現したいことや、伝えたいことをお聞かせください。

猫好きにはわかる「猫特有の可愛さ」や「猫あるある」を表現したいです。そして単純に「かわいい!」「ほしい!」と思っていただけたらすごく嬉しいです。私の作品を気に入ってくださった方がオーダーやグッズ購入をしてくだされば、それが結果的に保護猫たちの支援につながります。“保護猫のためになるから買う”のではなく、“単純に気に入ったから買う→保護猫たちのためになる”というサイクルを作りたいです。

  • 株式会社三越伊勢丹の紙袋とコラボレーションした作品
    伊勢丹新宿店×Coony  猫の日コラボイラスト

──作家としての展望や、保護活動で挑戦してみたいことはありますか?

まだ個展を開催したことがないので、個展をしてみたいです。以前予定があったのですが、新型コロナウイルスの影響で流れてしまいました。あとは、有名ブランドとのコラボレーションなどもインパクトが大きいので憧れます。最終的にはアトリエ&ギャラリー併設の保護猫カフェをどこかにオープンするのが夢です。

Coonyと愛猫のミン

作家活動未経験から、猫専門イラストレーターとして人気を得たCoony。その高い評価は猫に対する愛情と、彼女自身の努力の賜物といえるだろう。大きな夢を抱く彼女の、今後の活動にも注目してほしい。

 

Coony(クーニー)

福島県生まれ
多摩美術大学卒業
現在ダブルワーク中。ペットウェルネスカンパニーPETOKOTOペトコトのデザイナーとしてフレッシュドッグフード、キャットフードの製品デザインを中心に制作業務を担当しながら、猫専門イラストレーターとしても活動している。

2019 イラストレーターとしての活動を開始
2019 日韓合同アニマルイラスト展@ソウル
2020 ねこねこチーズケーキのブランドキャラクター「ブリー&モー」
2020 にゃんチー、ふぃにゃんシェのイラスト、パッケージデザイン
2021 お笑い芸人コンビ「チュートリアル」徳井義実の「こじらせTOOLS」ロゴデザイン
2022 ファミリーマート発売「にゃんともおいしいチーズケーキ」イラスト
2022 伊勢丹新宿店×Coony  猫の日コラボイラスト発売

・Instagram https://www.instagram.com/coony_illust/
・Twitter https://twitter.com/Coony_illust

展覧会予定
・2022年9月3日(土)〜4日(日)「もふあつめ展 in 渋谷ルデコ」/ギャラリー・ルデコ(LEDECO)(東京)
・2022年9月29日(木)〜10月5日(水)「もふあつめ展」/阪急百貨店 高槻阪急(大阪)