展覧会

展覧会 岡本太郎

会場
大阪中之島美術館
会期
7/23(土)〜10/2(日)

「芸術は爆発だ!」という言葉で一躍、名を馳せることとなった岡本太郎(1911〜1996)。美術に詳しくない人も、このフレーズなら聞き覚えがあるのではないだろうか。

そんな彼の大規模な回顧展が、7月23日から大阪中之島美術館で開催される。太郎の芸術人生を振り返ることのできる、またとない機会だ。

岡本太郎画像

ふたつの《太陽》

「人類の進歩と調和」を掲げた1970年の大阪万博。その「テーマ館」のプロデュースを依頼された太郎が制作したのが、代表作《太陽の塔》だ。

太郎の考える「進歩と調和」は、「化学技術の推進に限るものでも、同調や馴れ合いによるものでもない」というもの。そこで、万博のテーマに対してあえて真逆の価値観ともいえる、人間の太古からの根源的なエネルギーを象徴した作品を制作したのだ。彼の代名詞的存在でもあるこの作品は、大阪のシンボルとして知られ、今でも多くの人々に愛されている。

それと並行して描かれたのが、現在渋谷駅に設置されている幅30mの巨大壁画《明日の神話》。原子爆弾を主題に人類の「進歩」に内在する負の側面を見据え、それを乗り越えていく人類の未来への期待が込められている。本展ではこの「ふたつの太陽」にまつわる、太郎が残したドローイングや資料も展示される。太郎の思想に触れながら、大阪では二度目の開催となる万博(2025年日本国際博覧会、略称「大阪・関西万博」)を2025年に迎える私たち現代人にとっての「太陽」を再考してみよう。

岡本太郎《太陽の塔》画像

【参考図版】岡本太郎 《太陽の塔》 1970年(万博記念公園)

 

岡本太郎《明日の神話》画像

岡本太郎 《明日の神話》 1968年 川崎市岡本太郎美術館蔵
※本展では幅約11mの下絵を展示

 

人間の根源に迫る

《太陽の塔》の制作で太郎がテーマにしていた、人間の太古からの根源的なエネルギー。その探究は、日本文化への大きな興味によるものだ。日本全国を巡る太郎のフィールドワーク(実施調査)に注目するとともに、各地で撮影した写真に込められた民俗学的な洞察を紹介。そこから、彼が日本文化へどのようなまなざしを向けたのか、その核心に迫る。

岡本太郎 《イザイホー》画像

岡本太郎 《イザイホー》(沖縄県久高島) 1966年12月26 -27日撮影 川崎市岡本太郎美術館蔵

 

初期作品を公開!

本展では、太郎の初期の表現に触れることのできる貴重な絵画のひとつ、《露店》が出品される。1983年に太郎本人からグッゲンハイム美術館に寄贈されて以来初めての里帰りとなり、約40年の時を経てようやく日本国内での展示が叶った。

岡本太郎《露店》画像

岡本太郎 《露店》 1937/49年 ソロモン・R・グッゲンハイム美術館蔵(ニューヨーク)

手前の色彩豊かな商品列に対して屋台の中は暗く、うつむいて笛を吹くリボンをつけた売り子。明るい色を用いながらも、青春の苦悩を表現しているように見える作品で、1949 年に《傷ましき腕》とともに再制作された。メトロポリタン美術館(ニューヨーク)とテート・モダン(ロンドン)で昨年秋から今年にかけて開かれた「国境を越えたシュルレアリスム(Surrealism Beyond Borders)」展にも出品され、シュルレアリスムの影響を受けた重要な作品と見なされている。

その《露店》を含め、《空間》、《傷ましき腕》、《コントルポアン》という初期作品全4点全てを鑑賞できる。本展では、こうした初期の作品には特に注目したい。

岡本太郎《傷ましき腕》画像

岡本太郎 《傷ましき腕》 1936/49年 川崎市岡本太郎美術館蔵

今日でも幅広い世代の人々を魅了する芸術家・岡本太郎。彼は学術的な確固たる基盤を下敷きに、みなぎるエネルギーによって走り続けた。

これまでの太郎の展覧会の中でも、史上最大規模のスケールでおこなわれる本展は、大阪中之島美術館での開催を皮切りに、東京、愛知を巡回する。ぜひ近くの会場に足を運び、彼の深層を知り、太郎の人生を辿っていただきたい。

※画像は全てⒸ岡本太郎記念現代芸術振興財団

[infomation]
「展覧会 岡本太郎」
・会期 2022年7月23日(土)〜10月2日(日)
・会場 大阪中之島美術館
・住所 大阪市北区中之島4-3-1
・時間 10:00~18:00(入場は17:30まで)

・休館日 月曜日(9月19日を除く)
・観覧料金 一般1,800円、高校・大学生1,400円、中学生以下無料
※事前購入(日時指定券)推奨
※障害者(同伴者1名含む)、招待券をお持ちの方、中学生以下は日時指定なし
・TEL  06-4301-7285(大阪市総合コールセンター/8:00から21:00、年中無休)
・URL http://taro2022.jp

■東京展 2022年10月18日(火)〜12月28日(水)
■愛知展 2023年1月14日(土)〜3月14日(火)
※上記両会場の開館時間、休館日、観覧料金は未定

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