展覧会

どうぶつ百景 
江戸東京博物館コレクションより 

会場:東京ステーションギャラリー 会期:4/27(土)~6/23(日)

歌川広重《名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣》画像

歌川広重《名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣》 1857(安政4)年 東京都江戸東京博物館蔵[5/28から展示]


画巻、錦絵、装飾品、郷土玩具などに登場する動物たちの多様な姿

江戸幕府創設からおよそ420年。江戸は巨大都市として発展し、京都、大坂に並ぶ三都のひとつとなった。大都市である江戸・東京に暮らした人々は、どのように動物と関わってきたのだろうか。それを物語る美術品や工芸品など約240件(会期中展示替えがあり)を、江戸東京博物館のコレクションから選りすぐって紹介するのが、4月27日から東京ステーションギャラリーで開催される展覧会「どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより」だ。
この展覧会は、2022年にパリ日本文化会館(フランス)で開催され、好評を博した「いきもの:江戸東京 動物たちとの暮らし」展を拡充した凱旋帰国展である。画巻、錦絵、装飾品、郷土玩具など多種多様な美術品、工芸品に登場する動物たちの生き生きとした姿とその愛らしい雰囲気を、存分に味わってほしい。 

展示構成(予定)

・外国人が見た日本人とどうぶつ
・江戸のどうぶつ~「江戸図屛風」の動物を探してみよう
・飼育されたどうぶつ
・野生のどうぶつ
・見られるどうぶつ~見世物から動物園へ
・デザインのなかのどうぶつ
・東京の鉄道馬車

金沢(尾張屋)春吉《今戸土人形 子持猫》画像

金沢(尾張屋)春吉《今戸土人形 子持猫》 大正時代~昭和初期
東京都江戸東京博物館蔵[通期展示]


多くの動物と暮らしていたかつての日本人

1603(慶長8)年に幕府が置かれた江戸では、その後、街並みが整備されていく。街では人々がネコや犬をかわいがり、時にゾウの見世物が話題となり、ウズラの声を競う会が催され、ウサギの飼育が一大ブームに。また、人々は郊外に出かけ、野生の鳥の姿や虫の音に季節を感じたものだった。この展覧会では、一大都市となった江戸やかつての東京における動物と人々との関係が、さまざまな作品を通して探られる。

歌川豊国《しか茶屋》画像

歌川豊国《しか茶屋》 1792-93(寛政4-5)年頃 東京都江戸東京博物館蔵[5/26まで展示]


動物にまで「さん」づけするのは日本人の特質か?
1877(明治10)年に来日した米国の動物学者、エドワード・S.モースは、日本人が動物に対して親切に接することに驚いたという。動物の名に「さん」づけをして親しみを込めて呼び、人力車の車夫は道に居座る犬やネコを避けて走っていると、モースは記した。

ジョルジュ・ビゴー『あさ』より《人力車に乗る日本の家族》画像

ジョルジュ・ビゴー『あさ』より《人力車に乗る日本の家族》 1883(明治16)年
東京都江戸東京博物館蔵[5/28から展示]


素朴なかたちもあれば、洗練されたデザインもある動物の表現

壮大な狩猟の記録画、広重や国芳ら人気浮世絵師による錦絵など、日本の多くの絵画に動物たちが登場する。さらに、動物たちのイメージはデザインモチーフへと昇華され、温かみのある郷土玩具や、精巧な工芸品にも用いられるようになった。巨大都市における動物は、人間と共生するだけでなく、さまざまに表現されて人々の生活を彩ったのだ。

《ミニチュア玩具 とんだりはねたり》画像

《ミニチュア玩具 とんだりはねたり》 昭和中期 東京都江戸東京博物館蔵[通期展示]


改修工事中の江戸東京博物館から選りすぐりの作品が集結

大規模改修工事のために休館中の江戸東京博物館の収蔵品は、61万点にも及ぶ。この展覧会では、同館の膨大な収蔵品の中から、浮世絵、工芸品、染織などをテーマごとに展示。江戸・東京において人々が動物をどのように捉え、表現していたのかを俯瞰するものだ。最新の調査研究と初公開作品を含む充実した作品群が紹介される。

月岡芳年《風俗三十二相 うるささう 寛政年間処女之風俗》画像

月岡芳年《風俗三十二相 うるささう 寛政年間処女之風俗》 1888(明治21)年
東京都江戸東京博物館蔵[5/26まで展示]


東京会場のみで特別展示される「東京の鉄道馬車」

1882(明治15)年から1903(明治36)年まで、東京の大通りではレールの上を馬車が走っていた。「東京馬車鉄道」という会社は最盛期に300両の車両と2000頭の馬を擁していたとされるなど、都市の交通の一翼を鉄道馬車が担っていたのだ。東京会場では、鉄道馬車の開業を知らせる華やかな錦絵3枚続、名所絵、玩具絵など、当時の版画が展示される。

《志ん板くるまづくし》画像

《志ん板くるまづくし》 1893(明治26)年 大佛次郎記念館蔵[通期展示]

関連イベント

千代田区内ミュージアム連携企画 展覧会への入口講座Vol.38
「どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより」
それはなぜ選ばれたのか?

江戸東京博物館の監修者たちに、開催館の担当が展覧会の見どころやテーマに込めた思いなどを尋ね、知られざる準備段階の舞台裏を含めて語り合う。学芸員たちの推し作品や、その魅力も紹介。
講師:小山 周子(東京都江戸東京博物館学芸員)、川口 友子(東京都江戸東京博物館学芸員)、田中 晴子(東京ステーションギャラリー 学芸員)
日時: 5月22日(水)15:00~16:30
開場:14:30
会場:日比谷図書文化館 地下1階 日比谷コンベンションホール(大ホール)
住所:東京都千代田区日比谷公園1-4
定員:200名(事前申込順、定員に達し次第締切)
参加費:1,000円(千代田区民500円 ただし住所が確認できるものが必要)
申し込み方法:申し込みフォーム(下記URL)、電話(03‐3502‐3340)、日比谷図書文化館に来館(1階受付)のいずれかにて、①講座名(または講演会名)、②お名前(よみがな)、③電話番号、(「お申し込みフォーム」からの場合は④メールアドレス)を連絡してください。
※小学生以下が参加する場合は保護者の同伴が必要(同伴者も参加費要)
問い合わせ:日比谷図書文化館 03-3502-3340(代表)
申し込みフォーム:https://ucs.library.chiyoda.tokyo.jp/hibiya_application
イベントページ:https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/information/20240522-vol38/

[information]
どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより
・会期 2024年4月27日(土)~6月23日(日)
前期:4月27日(土)~5月26日(日)
後期:5月28日(火)~6月23日(日)
※前・後期で作品の展示替えあり
・会場 東京ステーションギャラリー
・住所 東京都千代田区丸の内1-9-1(JR東京駅 丸の内北口 改札前)
・時間 10:00~18:00(金曜日は20:00まで) ※入館は閉館30分前まで
・休館日 月曜日(4月29日、5月6日、6月17日は開館)、5月7日(火)
・入館料 一般1,300円、高校・大学生1,100円、中学生以下無料
※障がい者手帳等持参の方は200円引き(介添者1名は無料)
・TEL 03-3212-2485
・URL https://www.ejrcf.or.jp/gallery/
●都合により開催内容が変更になる場合あり
●最新情報や会期中のイベントは美術館ウェブサイト(上記URL)で案内

※この展覧会は東京での会期終了後、山梨県立博物館(2024年7月13日~9月2日)、愛知県美術館(2025年4~6月)、富山県水墨美術館(2025年7~9月)に巡回を予定。

error: このコンテンツのコピーは禁止されています。