| 会場:ヤマザキマザック美術館 | 会期:10/24(金)〜2026年2/23(月) |

オディロン・ルドン《アポロンの馬車》 1907年 油彩・キャンヴァス 個人蔵
画業前半のモノトーンの幻想世界、
後半の色彩世界を描いた画家としての姿に加え、
批評家としての存在にも光を当てるルドン展
名古屋市のヤマザキマザック美術館では、10月24日から来年2月23日までの会期で「オディロン・ルドン 夢の交叉 ―画家として、批評家として―」展が開催される。
19世紀フランス近代絵画の巨匠であり、世紀末の象徴主義を代表する画家として知られるオディロン・ルドン(1840-1916)。彼の幻想的な作風は、同時代から現代にいたるまで多くの人々を魅了している。この展覧会は、総点数130点余りの作品(会期前期・後期各約80点を展示予定)によって、ルドンの創作と評論の世界を展観するものだ。

オディロン・ルドン《幻視》(石版画集『夢のなかで』Ⅷ)
1879年 リトグラフ・紙 岐阜県美術館
第一部では、ルドンの数々の名作を精選して展示。モノトーンの画面に不思議な生き物がうごめき、神秘的な情景が繰り広げられる画業前半の石版画(リトグラフ)集の数々、画業後半に一転して華やかな色彩と自由奔放な筆触によって描きあげられた魅惑的な花の絵や神話画、風景画が対比的に紹介される。

オディロン・ルドン《聖ギュドュルの重々しい鐘が近くの塔で時を告げていた》(石版画集『陪審員』4)
1887年 リトグラフ・紙 町田市立国際版画美術館
第二部では、ルドンが著書『私自身に(À soi-même)』の中で論評したアングル、ドラクロワ、クールベをはじめとする芸術家たちの世界を、ヤマザキマザック美術館所蔵作品と町田市立国際版画美術館所蔵作品によって、ルドンの言葉を引用しながら紹介。彼が他の芸術家たちを見つめる目を通して、その美学や制作姿勢を読み解いていく。

オディロン・ルドン《帆船(寓意的風景)》 1907年 油彩・キャンヴァス ポーラ美術館
展覧会の見どころ
1. 若きルドンの代名詞、不気味な魅力が炸裂する石版画集の数々
1879年、ルドン39歳の時に刊行された初石版画集『夢のなかで』にはじまり、石版画集『ゴヤ讃』(1885年)、石版画集『夜』(1886年)、エドモン・ピカール『陪審員』 石版画挿絵(1887年)、石版画集『聖アントワーヌの誘惑』第1集(1888年)、石版画集『夢想(わが友アルマン・クラヴォーの思い出のために)』(1891年)、石版画集『聖アントワーヌの誘惑』第3集(1896年)、そして最後の石版画集『ヨハネ黙示録』(1899年)にいたるまで、ルドンの画業前半の代名詞とも言えるモノトーンの幻想世界、石版画集8作品が展示される。
※版画作品は、会期の前期(10月24日〜12月21日予定)と後期(12月23日〜2月23日予定)で展示替えされる。

オディロン・ルドン《堕天使はその時黒い翼を開いた》(石版画集『夜』Ⅲ)
1886年 リトグラフ・紙 三菱一号館美術館
2. 晩年のルドンが足を踏み入れた色彩の世界
晩年のルドンといえば、油彩やパステルで描かれたまばゆいばかりに輝かしい色彩の世界が特徴的だ。謎めいた幻想性はそのままに、色彩によって華やかに解放された聖書の物語、ギリシャ神話の物語、さらに夢か現か分からなくなるほど美しい花瓶の花々は、一度見ると忘れられない印象を残す。
今回展示されるこの種の作品は15点と、それほど多くはないが、選りすぐりの絵画によってルドンの色彩世界を垣間見ることができるだろう。

オディロン・ルドン《緑の花瓶の花》 1904-06年頃 油彩・キャンヴァス 個人蔵
3. 批評家としてのルドンの美術批評
画家としての活動で有名なルドンだが、実は芸術批評も数多く残している。この展覧会では、ヤマザキマザック美術館所蔵のアングル、ドラクロワ、クールベ、ピサロ、ドガ、ファンタン=ラトゥール、ロダン、カリエール、ボナールの作品に、町田市立国際版画美術館所蔵のドラクロワ、ファンタン=ラトゥール、ブレスダンの版画作品を加え、それらについてルドンが書き記した批評とともに紹介される。
幻想の画家ルドンの知的な側面とともに、彼の美学や制作哲学も感じることができる絶好の機会だ。

オディロン・ルドン(1880年)
美術館について
ヤマザキマザック美術館は、初代館長の山崎照幸(1928-2011)が収集したフランス美術300年の流れを一望できるコレクションを公開するために、2010年4月23日にオープンした。美術館の母体であるヤマザキマザック株式会社は、金属部品加工の工作機械を製造するグローバルカンパニー。同社の工作機械は、先端産業である自動車、航空機、船舶、人工衛星や、時計、携帯電話、人工骨などの金属部品を加工する機械で、世界中の製造業の基盤を支えている。
美術館5Fの展示室では、ヴァトー、ブーシェ、フラゴナール、シャルダンらに代表されるロココの時代にはじまり、ロマン主義のドラクロワ、新古典主義のアングル、写実主義、印象派、エコール・ド・パリと、18世紀から20世紀にいたる絵画作品が紹介されている(ただし「オディロン・ルドン 夢の交叉」展の会期中は、作品を一部入れ替え)。4Fの展示室では、19世紀末にフランスを中心に花開いたアール・ヌーヴォーの工芸作品を所蔵・展示。棚や椅子、テーブル、暖炉、壁面フレームと一部屋まるごと完備したアレクサンドル・デュマのダイニングルームなどが、当時の邸宅の雰囲気を伝える。また、エミール・ガレやティファニーのガラス工芸作品も豊富に展示されている。
[information]
オディロン・ルドン 夢の交叉 ―画家として、批評家として―
・会期 2025年10月24日(金)〜2026年2月23日(月)
・会場 ヤマザキマザック美術館 5階展示室
・住所 愛知県名古屋市東区葵1-19-30
・時間 平日10:00〜17:30/土日祝10:00〜17:00
※入館は閉館の30分前まで
・休館日 月曜日(11月3日・24日、1月12日、2月23日は開館)、11月4日(火)・25日(火)、1月13日(火)、年末年始(12月29日〜1月5日)
・入館料 一般1,300円(10名以上は1,100円)、小・中・高生500円、小学生未満は無料
※各種障害者手帳をご提示の方とその同伴者1名は1,100円
※音声ガイド無料サービス
・TEL 052-937-3737
・URL https://www.mazak-art.com