展覧会

ABSTRACTION 抽象絵画の発生と展開 
セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ

会場 
アーティゾン美術館
会期
6/3(土)〜8/20(日)

フランティセック・クプカ《赤い背景のエチュード》1919 年頃 石橋財団アーティゾン美術館【新収蔵作品】

フランティセック・クプカ《赤い背景のエチュード》
1919年頃 石橋財団アーティゾン美術館【新収蔵作品】

19世紀末から第一次世界大戦が勃発するまでの間、フランスが平和と豊かさを享受することができた時代、ベル・エポック(仏: Belle Époque/美しい時代)。芸術を生み出す活気と自由な雰囲気に満ち溢れる中、フォーヴィスム、キュビスムなどの新しい美術が花開き、やがて表現の到達点のひとつとして抽象絵画の誕生を導いた。その後の抽象絵画の展開は20世紀の美術表現を牽引し、その潮流は同時期の日本にも及んだ。

アーティゾン美術館で6月3日から開催されるのは、おおよそ1960年代までのフランスを中心としたヨーロッパ、アメリカ、そして日本の動向を通覧する展覧会だ。
同展は印象派を起点として、20世紀初頭の革新的な絵画運動を経て抽象絵画が生まれ、ふたつの大戦を経てさらに展開していく様子を紹介するもの。
石橋財団コレクションから新収蔵作品*95点を含む約150点、国内外の美術館、個人コレクション等から約100点、あわせて約250点の作品が、アーティゾン美術館の全展示室を使って披露される。
ぜひこの機会に、美術史に残る名画の数々を堪能してほしい。

*新収蔵作品……アーティゾン美術館の前身であるブリヂストン美術館が休館した2015年以降に収蔵された作品を指す。

ヴァシリー・カンディンスキー《「E.R.キャンベルのための壁画No.4」の習作(カーニバル・冬)》1914 年 宮城県美術館

ヴァシリー・カンディンスキー
《「E.R.キャンベルのための壁画No.4」の習作(カーニバル・冬)》
1914年 宮城県美術館

展覧会の見どころ

1. 抽象絵画の歴史を展観する大規模展

19世紀中頃、写真技術が発明された直後に印象派が誕生し、それを継ぐ絵画の革新は20世紀へと引き継がれる。20世紀美術の主要な動向である抽象絵画の歴史を、その発生からおおよそ1960年代までの展開に沿って、フランスを中心としたヨーロッパ、アメリカ、日本の作品約250点で展観。12のセクションで構成され、アーティゾン美術館の全展示室を使った大規模な展覧会となる。

2. アーティゾン美術館の近年の新収蔵作品95点を一挙公開

抽象絵画の収集に力を入れてきたアーティゾン美術館。抽象絵画を創始した画家カンディンスキー、クレー、ドローネー、クプカ、オキーフらの初期作品をはじめとする、新収蔵作品が一堂に公開される。また、抽象絵画が生まれるきっかけとなった20世紀初頭のフォーヴィスムに関する新収蔵作品5点にも注目してほしい。

3. 国内外の美術館、個人コレクションからの作品が集結

海外からは、ポンピドゥー・センター、フィリップス・コレクションなどの美術館、そして個人コレクションから、初公開作品を含む計30点余りの作品が来日。国内からは、国公立・私立の美術館、個人コレクションからの重要作品約70点が出品される。

4. アルトゥング、スーラージュ、ザオ・ウーキーの後期作品を特集展示

第二次世界大戦直後のフランス抽象絵画の興隆を担ったアンス・アルトゥング、ピエール・スーラージュ、ザオ・ウーキーといった巨匠たちは、その創作意欲を途切れさせることなく、生涯にわたって意欲的な活動を続けた。しかし、それぞれが没する直前まで活力の漲る大作を生み出したことはあまり知られていない。セクションのひとつは、これらの巨匠の晩年に焦点を当てた作品で構成される。

5. 現代作家の作品を特集展示

20世紀に興った抽象絵画は、どのように現代に受け継がれ、展開していくのだろうか。本展最後のセクションでは、伝統を受け継ぎながらも、あらたな表現に挑む7人の作家が紹介される。リタ・アッカーマン、鍵岡リグレ アンヌ、婁正綱ろうせいこう、津上みゆき、柴田敏雄、髙畠依子、横溝美由紀の新作を中心とした作品から、抽象絵画の今を感じてほしい。

 

ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山と シャトー・ノワール》1904-06年頃  石橋財団 アーティゾン美術館

ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》1904-06年頃 
石橋財団アーティゾン美術館

展覧会構成・主な出品作家

1. 抽象芸術の源泉
ポール・セザンヌ/エドゥアール・マネ/フィンセント・ファン・ゴッホ/ポール・ゴーガン/オディロン・ルドン/クロード・モネ 他

2. フォーヴィスムとキュビスム
アンリ・マティス/アンドレ・ドラン/モーリス・ド・ヴラマンク/ラウル・デュフィ/パブロ・ピカソ/ジョルジュ・ブラック/ジャン・メッツァンジェ/フェルナン・レジェ 他

3. 抽象絵画の覚醒──オルフィスム、未来派、青騎士、バウハウス、デ・ステイル、アプストラクシオン=クレアシオン
ロベール・ドローネー/フランティセック・クプカ/ル・コルビュジエ/ヴァシリー・カンディンスキー/パウル・クレー/ピート・モンドリアン/コンスタンティン・ブランクーシ/ジョージア・オキーフ 他

4. 日本における抽象絵画の萌芽と展開
恩地孝四郎/萬鉄五郎/古賀春江/長谷川三郎/岡本太郎 他

5. 熱い抽象と叙情的抽象
ヴォルス/ジャン・フォートリエ/ジョルジュ・マチュー/モーリス・エステーヴ/マリア=エレナ・ヴィエラ・ダ・シルヴァ/アンス・アルトゥング/ピエール・スーラージュ/ザオ・ウーキー/堂本尚郎/菅井汲 他

6. トランス・アトランティック──ピエール・マティスとその周辺
ジャン・デュビュッフェ/ジョアン・ミロ/マルセル・デュシャン 他

7. 抽象表現主義
アーシル・ゴーキー/ハンス・ホフマン/ウィレム・デ・クーニング/ジャクソン・ポロック/マーク・ロスコ/サム・フランシス/アド・ラインハート/アドルフ・ゴットリーブ/エレイン・デ・クーニング/ヘレン・フランケンサーラー/リー・クラズナー/ジョアン・ミッチェル/イサム・ノグチ 他

ジャクソン・ポロック《無題(縦にされた台形 のあるコンポジション)》1943年頃 個人蔵

ジャクソン・ポロック《無題(縦にされた台形のあるコンポジション)》
1943年頃 個人蔵

8. 戦後日本の抽象絵画の展開(1960 年代まで)
山口長男/オノサト・トシノブ/草間彌生/桂ゆき/斎藤義重/川端実/杉全直/猪熊弦一郎/岡田謙三/瑛九 他

9. 具体美術協会
吉原治良/白髪一雄/田中敦子/金山明/村上三郎/元永定正/正延正俊 他

10. 瀧口修造と実験工房
瀧口修造/山口勝弘/福島秀子/北代省三

福島秀子《MP》1950 年 個人蔵(石橋財団アーティゾン美術館寄託) @Kazuo Fukushima

福島秀子《MP》1950年 石橋財団アーティゾン美術館(寄託作品)
@Kazuo Fukushima

11. 巨匠のその後──アンス・アルトゥング、ピエール・スーラージュ、ザオ・ウーキー
アンス・アルトゥング/ピエール・スーラージュ/ザオ・ウーキー

12. 現代の作家たち──リタ・アッカーマン、鍵岡リグレ アンヌ、婁正綱ろうせいこう、津上みゆき、柴田敏雄、髙畠依子、横溝美由紀
リタ・アッカーマン/鍵岡リグレ アンヌ/婁正綱/津上みゆき/柴田敏雄/髙畠依子/横溝美由紀

[information]
ABSTRACTION 抽象絵画の発生と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ
・会期 2023年6月3日(土)〜8月20日(日)
・会場 アーティゾン美術館 6・5・4 階展示室
・住所 東京都中央区京橋1-7-2
・時間 10:00~18:00 ※8月11日を除く金曜日は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)
・休館日 月曜日(7月17日は開館)、7月18日
・入館料 ウェブ予約チケット1,800円、当日チケット(窓口販売)2,000円、学生無料(要ウェブ予約)
※ウェブ予約チケットが完売していない場合のみ、美術館窓口でも当日チケットを販売
※中学生以下の方はウェブ予約不要
※日時指定予約制
・TEL 050-5541-8600 (ハローダイヤル)
・URL https://www.artizon.museum/

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