展覧会

滋賀県立美術館開館40周年記念
つくる冒険 日本のアール・ブリュット45人
―たとえば、「も」を何百回と書く。

会場
滋賀県立美術館
会期
4/20(土)〜6/23(日)

齋藤裕一《ドラえもん》画像

齋藤裕一《ドラえもん》 2003~2006年 滋賀県立美術館蔵 撮影:大西暢夫 写真提供:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA


世界的なアール・ブリュット作品のコレクション約450点を紹介

日本語では、「なまの芸術」と訳されてきたアール・ブリュット。1940年代、フランスの画家、ジャン・デュビュッフェが、精神障害者や独学のつくり手などの作品に心を打たれ、提唱した美術の概念である。滋賀県立美術館の「つくる冒険 日本のアール・ブリュット45人 ―たとえば、「も」を何百回と書く。」では、同館が2023年に日本財団から受贈した、45人の日本のアール・ブリュットのつくり手による作品約450点が展示される。
たとえば、「も」を何百回と書いたり、他人には読めない文字で毎日同じ内容の日記を記したり、寝る間を惜しんで記号を描き続けたり……冴えたひらめきや、ひたむきなこだわりを形にするため、出どころの謎めいた発想と熱量をもって挑む、そんな冒険的な創作と鑑賞者は出合うことができるだろう。

45人の作品が滋賀県立美術館に収蔵されるまで

2010年、フランス・パリのアル・サン・ピエール美術館で開催された「アール・ブリュット・ジャポネ(邦訳:日本のアール・ブリュット)」展。滋賀を含む全国各地でその才能を見出された障害のある人や独学のつくり手たちの作品が日本のアール・ブリュットとして紹介された同展は、現地で大きな話題を呼んだ。さらに、会期後日本に戻ってきた作品群による巡回展が国内各地で開催され、日本でも逆輸入的にアール・ブリュットが注目を集めるきっかけとなったのである。
今回の「つくる冒険 日本のアール・ブリュット45人 ―たとえば、「も」を何百回と書く。」で展観される45人の作品は、「アール・ブリュット・ジャポネ」展に出展された後、日本財団により所蔵されていたもの。2023年、さらなる活用を目的として、アール・ブリュットを収集方針に掲げる国内唯一の公立美術館である滋賀県立美術館に寄贈(寄託を含む)された。これにより、同館は世界でも有数のアール・ブリュットのコレクション(731件)を有する美術館となったといえる。

展示構成

1 色と形をおいかけて
色と形、それは何かをつくるときに重要となる要素。この展覧会の作品の中にも、色と形を巡るさまざまな試みを見ることができる。例えば鑑賞者には、つくり手のひらめきや、気の迷い、動かす手の喜びなどまでが透けて見えてくるのではないだろうか。
【つくり手】松本寛庸、村田清司、伊藤喜彦、畑中亜未、舛次崇、藤野公一、木村茜、鎌江一美、大梶公子、平瀬敏裕、八重樫道代(展示順)

舛次崇《ペンチとドライバーとノコギリとパンチ》画像

舛次崇《ペンチとドライバーとノコギリとパンチ》 2006年 滋賀県立美術館蔵 撮影:大西暢夫
写真提供:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA


2 繰り返しのたび

自分の名前、母親の肖像、同じ内容の日記など……ここでは、「繰り返し」を中心とした作品が紹介される。一つのことにこだわる執念にも、やすらぎを求める行動のようにも見える「繰り返し」とは、どのような意味を持つ営みなのだろうか。
【つくり手】伊藤峰尾、吉川秀昭、芝田貴子、滋賀俊彦、橘高博枝、戸來貴規、齋藤裕一、上田志保、佐々木早苗(展示順)

佐々木早苗《無題》画像

佐々木早苗《無題》 2007〜2008年 滋賀県立美術館蔵 撮影:大西暢夫
写真提供:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA


3 冒険にでる理由

ここでは、つくり手たち自身を捉えた映像が公開される。つくり手たちの、生きることとつくることの分かちがたい結びつきについての一端を、鑑賞者は映像を通して感じ取ることができるのではなかろうか。
【つくり手】木村茜、伊藤峰尾、佐々木早苗、石野敬祐(展示順)

4 社会の密林へ
ここでは、路上に落ちていたモノを拾い集めてつくったオブジェや、独特に着飾った派手な服装で町中を行くパフォーマンス、また自分の知る人々の顔、関心のある乗り物の精巧な再現など、社会との交わりを感じさせる作品が展示される。
【つくり手】八島孝一、宮間英次郎、上里浩也、高橋和彦、西本政敏、平岡伸太、水谷伸郎、平野信治、狩俣明宏、大久保寿、吉澤健、畑名祐孝、石野敬祐(展示順)

石野敬祐《女の子》画像

石野敬祐《女の子》 2009年 滋賀県立美術館蔵 撮影:大西暢夫
写真提供:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA


5 心の最果てへ

激しい感情を表明したり、やすらぎを求めたり、過去の記憶を掘り起こしたり、我を忘れて何かに没頭したり……ここに展示される作品からは、そうした心の動きを感じ取ることができるはずだ。
【つくり手】秦野良夫、木伏大助、内山智昭、木本博俊、松田僚馬、富塚純光、岩崎司、小幡正雄、山崎健一、高橋重美、土屋正彦、澤田真一(展示順)

土屋正彦《(宇宙の父)スペース・ゴッドファーザー》画像

土屋正彦《(宇宙の父)スペース・ゴッドファーザー》 2004〜2009年頃 滋賀県立美術館蔵
撮影:大西暢夫 写真提供:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA

関連イベント

■公開制作 [事前申込不要/無料]
出展者による公開制作(富塚純光の虚実混成絵物語)。事実と空想を織り交ぜた物語を絵と⽂字で紙⾯に紡いでいく、富塚純光の独特の制作が公開される。
日時:5⽉11⽇(⼟) 13:00〜14:00
場所:滋賀県⽴美術館 ギャラリー

富塚純光《青い山脈物語8おっかけられたの巻》画像

富塚純光《青い山脈物語8おっかけられたの巻》 2001年 滋賀県立美術館蔵 撮影:大西暢夫
写真提供:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA


■たいけんびじゅつかん
[要事前申込/抽選/参加費200円(保護者の⽅のみ要観覧料)]
⼩・中学⽣とその保護者が対象の、展覧会鑑賞および創作体験。
日時:4⽉28⽇(⽇)、5⽉26⽇(⽇) いずれも13:00〜15:30
定員:各回15名

■⼟曜⽇はギャラリートーク [事前申込不要/当⽇先着/要観覧料]
担当学芸員が展⽰室を案内。
日時:会期中毎週⼟曜⽇ 15:30〜16:30
定員:各回20名程度

■連携企画:アートと障害を考えるネットワークフォーラム 2024 [要事前申込/申込先着/無料]
美術や福祉の関係者とともに、「アートと障害」をテーマにした講演やトークセッションを実施。
日時:6⽉23⽇(⽇) 13:30〜16:30
定員:70名
主催:滋賀県⽂化スポーツ部 ⽂化芸術振興課 美の魅⼒発信推進室

[information]
滋賀県立美術館開館40周年記念
つくる冒険 日本のアール・ブリュット45人
 ―たとえば、「も」を何百回と書く。
・会期 4月20日(土)〜6月23日(日)
・会場 滋賀県立美術館 展示室3
・住所 滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1
・時間 9:30-17:00(入場は16:30まで)
・休館日 毎週月曜日(ただし祝日の場合には開館し、翌火曜日休館)
・観覧料 ⼀般950円、⾼校⽣・⼤学⽣600円、⼩学⽣・中学⽣400円
※企画展のチケットで、展⽰室1・2で同時開催している常設展も無料で観覧可
※未就学児は無料
※⾝体障害者⼿帳、精神障害者保健福祉⼿帳、療育⼿帳をお持ちの⽅は無料
・TEL 077-543-2111
・URL https://www.shigamuseum.jp/

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