展覧会

第41回土門拳賞受賞作品展
北島敬三「UNTITLED RECORDS」

会場:土門拳記念館 会期:2022/10/20(木)〜2023/1/15(日)

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土門拳賞は、リアリズム写真を確⽴した巨匠・⼟⾨拳の業績を讃え、1981年に毎⽇新聞社が設⽴。その年に作品(写真集、展覧会など)を発表し、優れた成果を挙げた写真家が対象となり、受賞作品は⼟⾨拳記念館のパーマネントコレクション(永久収蔵品)となる。第41回土門拳賞を受賞したのは、日本写真協会新人賞や木村伊兵衛写真賞、伊奈信男賞など、多数の受賞歴を有する北島敬三だ。

《飯舘村 福島県 2011年10月13日》 北島敬三 土門拳記念館蔵

北島敬三《飯舘村 福島県 2011年10月13日》 提供:土門拳記念館

北島は、全20巻からなる連続写真集『UNTITLED RECORDS』によって受賞を果たした。彼が北海道から沖縄まで⾜を運び、東⽇本⼤震災の被災地を含む⽇本各地の“遺棄されたように⾒える” ⾵景を撮影した、1999年から現在までの320点がこの写真集には収められている。⼀貫した視点と姿勢で撮影・選択されていることが窺える写真は、⽇本中が被災地であるかのような錯覚を観る者に与える。21世紀の⽇本列島へ急速に浸透し広がっていく、日本の⾵景が解体する様子を提⽰し続けた北島の姿勢が⾼く評価され、今回の受賞に至った。
土門拳賞受賞に際し、彼は以下のように言葉を寄せている。

3・11以後の自分を問う

「UNTITLED  RECORDS」は、あまり大声にならないよう自分の足元で展開してきたシリーズだったので、受賞の知らせをいただいた時には少し驚いた。
東日本大震災以降とくに、見慣れた風景が翌日には全く別のものに変わってしまうという経験を、私たちは何度も繰り返してきた。自分が属している社会の諸矛盾が、噴出露呈するのを見てきた。私には、東日本大震災からオリンピックそしてパンデミックへと至ったこの10年が、1923年の関東大震災から日中戦争、幻のオリンピックを経て太平洋戦争に至る時代と重複し、極東の軍事的緊張やウクライナ侵攻などは言うまでもなく、より危機的な時代に進んでいるように見える。
このシリーズには、そうした時代において、ある写真家の個人的な活動を善かれあしかれ丸ごと書簡化し、向後へ送信できればという企図があった。しかし今現在、「震災以後の時間をお前はどう過ごしたのか」じつは「すでに取り返しのつかない10年を過ごしてしまったのではないか」という焦りのようなものをより強く感じている。もちろん、こうした感覚をお持ちの方は私だけではないはずだ。しかし、それは希望か?
この度「UNTITLED RECORDS」に土門拳賞を授与してくださった選考委員の方々に、心より感謝申し上げます。
(「毎日新聞」2022年3月21日号より抜粋)

北島独自の視点によって撮影された風景写真を通し、今まで意識することのなかった日本の姿を、ぜひその目で確かめていただきたい。

同時開催

《岡本太郎》/ 希少プリントの裏面に押された土門県のスタンプ

土門拳《岡本太郎》/ 希少プリントの裏面に押された土門県のスタンプ 提供:土門拳記念館

Japanese Faces-希少プリントでたどる、日本のかお
⼟⾨拳が撮影した「顔」の代表作といえば、昭和の著名⼈たちのポートレートを収めた写真集、『⾵貌』。本展では、『風貌』に掲載された⼈物だけでなく、仏像や古美術品など、⼟⾨のレンズが捉えた様々な被写体を“⽇本の貌”という視点で捉えた約30点のモノクロ写真が展⽰される。また、近年寄贈された⽣前の⼟⾨拳本⼈が監修したと思われる『⾵貌』シリーズのプリント=「希少プリント」を多数初公開。“オリジナルの写真”が放つ⼒を味わっていただきたい。

古寺巡礼 Autumn Collection
春(スプリング)、夏(サマー)と展開してきた2022年の土門拳記念館「古寺巡礼」シリーズ。続くオータム・コレクションは、古寺の雰囲気にゆったりと浸るには最適のシーズンと言えるだろう。寺院建築からもの想いに耽っているような表情の仏像まで、カラーとモノクロを合わせ計108点の作品が並び、さまざまな古寺の姿を観ることができる。

[information]
第41回土門拳賞受賞作品展
北島敬三「UNTITLED RECORDS」ほか
・会期 2022年10月20日(木)〜2023年1月15日(日)
・会場 土門拳記念館
・住所 山形県酒田市飯森山2-13(飯森山公園内)
・電話 0234-31-0028
・時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
・休館日 月曜日(祝日の場合は開館、翌火曜に休館)、年末年始(12月29日[木]~1月3日[火])
・入館料 一般700円、高校生350円、中学生以下無料
・URL http://www.domonken-kinenkan.jp/

第29回 酒田市土門拳文化賞 公募

この賞は、土門拳記念館開館10周年を機に、酒田市が写真文化・写真芸術の復興及び奨励に寄与することを目的として1994年に創設した。
国内在住の個人アマチュア写真愛好家が対象で、テーマは自由。ただし1テーマ10枚以上30枚以内で構成される組写真(プリント)を1点として応募することが条件となる。酒田市土門拳文化賞受賞者には、賞状・賞牌及び副賞として50万円が贈られる。さらに、例年秋に土門拳記念館で開催される「酒田市土門拳文化賞受賞作品展」で、同賞受賞作品1点と奨励賞受賞作品3点を展覧。
2022年に全国106名から寄せられた116テーマの作品の中から、見事第28回酒田市土門拳文化賞に輝いたのは、大角勝「立ち止まる情景」(モノクロ30枚組)。コロナ禍を逆手に取り、リアリズム写真を気負いなく自然体で捉えた、見事な作品群であることが評価されたようだ。
毎年多くの優れた作品が寄せられるこの賞。第29回ではどのような作品が栄冠に輝くのか期待が高まる。

■応募締切
2023年5月19日(金)17:00 必着

※応募要項詳細は土門拳記念館オフィシャルサイト内「酒田市土門拳文化賞」のページをご確認ください。
http://www.domonken-kinenkan.jp/bunka/

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