展覧会

特別展「加耶」

会場
九州国立博物館
会期
1/24(火)~3/19(日)

ポスター画像

加耶とは

加耶は、3世紀から6世紀にかけ、朝鮮半島の南部に興った国々の総称だ。朝鮮半島南部では、鉄生産を背景にして3世紀ごろに各地の勢力が成長し、金で身を飾り、大きな古墳を築く王たちが現れた。加耶諸国は、ゆるやかに連携しつつ、東に位置する新羅しらぎ、西の百済くだらや中国、北の高句麗こうくり、南の(日本)や南西諸島と交流した。
本展では、加耶を代表する以下の4つの国が紹介される。

金官きんかん加耶かや
魏志ぎし倭人伝わじんでんにも登場する「狗邪韓国くやかんこく」から成長し、最初に「カヤ」と呼ばれ、4世紀に栄えた。王陵は大成洞テソンドン古墳群。
出展品の一つ、『鴨形土器』の鴨の頭の上には、小さな人物が伏せるように乗っている。鴨形の容器は、3世紀ごろから作られ始めており、3世紀の「魏志」によると、鳥は死者の魂の媒介者とされていた。

鴨形土器金海望徳里I-194号墓出土 <金官加耶> 4世紀 韓国国立金海博物館

鴨形土器かもがたどき
金海キメ望徳里マンドンニI-194号墓出土 <金官加耶> 4世紀
韓国国立金海博物館

阿羅あら加耶かや
鉄のインゴットを加工した有刺利器ゆうしりき、土器に開けた火焔かえん形のすかし、回転する車輪のある土器など、個性的な造形があふれる。王陵は末伊山古墳群。
『有刺利器』は、鉄のインゴット(鉄鋌てってい)を加工して作った儀式の道具で、縁に鳥の姿を表す。鉄鋌は鉄器づくりの素材となり、時には貨幣のように、あるいは副葬品としても用いられた。

有刺利器咸安道項里(文)10号墳出土  <阿羅加耶> 4世紀末~5世紀前半 韓国国立金海博物館

有刺利器ゆうしりき
咸安ハマン道項里トハンニ(文)10号墳出土 
<阿羅加耶> 4世紀末~5世紀前半
韓国国立金海博物館

小加耶しょうかや
海に面し倭とも関係が深く、大加耶と倭を仲介した。王陵は松鶴洞古墳群。

大加耶だいかや
5世紀以降に台頭し、独自に中国に遣いを送った大加耶は、ほかの加耶諸国とともに、最後まで新羅に対抗した。
韓国宝物『金銅冠こんどうかん』は、大加耶歴代の王の墓所である高霊池山洞コリョンチサンドン古墳群から出土した。王の権威を表す冠は、中央に大きな立ち飾りが付き、細部に小さな点で波状文が表されている。

韓国宝物 金銅冠高霊池山洞32号墳出土 <大加耶> 5世紀中葉 韓国国立大邱博物館(画像提供:啓明大学校博物館)

韓国宝物 金銅冠こんどうかん
高霊コリョン池山洞チサンドン32号墳出土 <大加耶> 5世紀中葉
韓国国立大邱博物館(画像提供:啓明大学校博物館)

鉄の国「加耶」の興亡、華麗な文化

第一部 加耶の興亡
鉄で栄え、金で飾った加耶諸国は、古墳時代の日本にも様々な影響を与えた。本展では、最新の研究成果に基づいて、加耶の前身である弁韓べんかんに始まり、562年に大加耶が滅亡するまでの、加耶の興亡の歴史を辿る。

• 第1章 加耶を語るもの
• 第2章 加耶への道
• 第3章 加耶人は北へ南へ
• 第4章 加耶王と国際情勢
• 第5章 加耶のたそがれ

第二部 渡来人
加耶をはじめとするさまざまな地域から日本列島にやってきた「渡来人とらいじん」たちがもたらした文化・技術に着目し、発掘調査の出土品から、日本文化の形成過程に迫る。

• 第6章 稲づくりと国づくり
• 第7章 渡来人と生きる
• 第8章 技術革新
• 第9章 渡来馬と渡来牛

重要文化財『金製垂飾付耳飾きんせいすいしょくつきみみかざり』は、奈良県の新沢千塚にいざわせんづかに眠っていた、きらびやかに飾られた高貴な女性の副葬品の一つだ。彼女はほかにも、金の指輪や金銀の腕輪を身に着け、日本製の翡翠ひすい勾玉まがたまなどを持っていた。耳飾りの鎖には、大加耶の特徴が見られる。

重要文化財 金製垂飾付耳飾り奈良県橿原市・新沢千塚126号墳出土 <倭> 古墳時代・5世紀 東京国立博物館

重要文化財 金製垂飾付耳飾きんせいすいしょくつきみみかざ
奈良県橿原かしはら市・新沢千塚にいざわせんづか126号墳出土 <倭> 古墳時代・5世紀
東京国立博物館

古代朝鮮半島と倭国の交流を詳らかに知ることができる本展は、韓国宝物『金銅冠』をはじめ、倭国にまつわる文化財を一堂に鑑賞できる貴重な機会だ。ぜひ会場に足を運んでほしい。

四條畷市指定文化財 仔馬形埴輪 大阪府四條畷市・忍ヶ丘駅前遺跡出土 <倭> 古墳時代・6世紀 四條畷市教育委員会

四條畷しじょうなわて市指定文化財 仔馬形埴輪こうまがたはにわ
大阪府四條畷市・忍ヶ丘駅前しのぶがおかえきまえ遺跡出土 <倭> 古墳時代・6世紀
四條畷市教育委員会

[information]
特別展「加耶」
・会期 1月24日(火)~3月19日(日)
・会場 九州国立博物館
・住所 福岡県太宰府市石坂4-7-2
・時間 9:30~17:00(入館は16:30まで)
※毎週金曜・土曜日は20:00まで開館(入館は19:30まで)
・休館日 月曜日
・観覧料 一般1,700円、高大生1,000円、小中生600円、未就学児無料
※大学生以下の方は学生証や生徒手帳等の提示が必要
※障害者手帳等を持参の方とその介護者1名は無料
・TEL 050-5542-8600(ハローダイヤル、9:00〜20:00/年中無休)
・URL https://www.kyuhaku.jp

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