
抜けるような青空のもと、観光客が行き交う晩春のパリ市内。芸術の香り高い16区に位置するリンダ・ファレル・ギャルリーは、トロカデロ広場、ギメ美術館、パレ・ド・トーキョー、シャイヨー宮などに囲まれた好立地にある。同ギャラリーで、4月23日から5月12日までの日程を3会期に分け、「サロン・ド・アール・ジャポネ」の記念すべき第10回展が開催された。

この展覧会は2019年11月に、第1回目にあたる「サロン・ド・アール・ジャポネ2019 〜日本の色〜」としてスタートした。例年、開催を心待ちにしている美術愛好家も多く、今回もさまざまな国籍と年齢層の鑑賞者が訪れた。パリ在住のリピーターのほか、SNSで開催を知ったという新たなファンも来場したようだ。
会期中に在廊する作家の姿もあり、自作についての思いや解説を直接聞くことができたのは、現地のアートファンにとっても非常に嬉しいこと。こうした文化の交流から、また新しい何かが生まれてくるのだ。
第1会期 [4月23日〜4月28日]
第1会期の初日におこなわれたヴェルニサージュ(オープニングパーティー)は、直前から天候に恵まれ、多くの人で賑わったギャラリー。集まった多彩なスタイルの作品を前にし、「日本的な精神性と現代的な構成が融合した作品に、心が動かされた」「抽象的でありながらも強い感情が伝わってくる作品が多く、楽しく鑑賞できた」「色遣いや構成が独特で何度も観てしまう作品があった」などの感想が寄せられた。

第2会期 [4月30日〜5月5日]
この会期に来場者した人からは、「作品を通して日本という国の奥深さに触れることができた」「技術だけでなく、精神性の高さを感じる作品が多かったです。作品と親密に向き合えるとてもいい空間のギャラリー」「和と洋が溶け合った世界観に感動した」という声があった。会場でSNSアカウントを教え合うなど、作家同士の親睦も深まったようだ。

第3会期 [5月7日〜5月12日]
写真や書、染色、ミクストメディア、デジタルアートなど、多彩な表現方法の作品が集った第3会期には、以前来場した際にとても楽しかったため、友人を誘って再び訪れたという人も。「日本の作家たちが在廊していたので、直接話すことができ、本当に嬉しい体験になった」という喜びの声のほか、「作品から作家の高い才能を感じた。今後のシリーズにも注目したい」などといった期待が寄せられ、展覧会は成功裏のうちに幕を閉じた。

第1回展から本展の総合監修を務めるフランス芸術家協会(ル・サロン)絵画部門代表のアラン・バザールは、本展に際し次のような言葉を寄せている。
芸術に「絶対的な科学」は存在しません。ただ、私は10歳の頃からこの道に人生を捧げてきており、その中で得た知識は批評の糧となっています。皆さんの作品を高く評価し、進化を手助けし、共に芸術の冒険を歩めることは、私にとって大きな喜びであり、私自身の創作活動の豊かさにもつながっています。

総合監修を務めたアラン・バザール氏(フランス芸術家協会絵画部門代表)
3会期それぞれで最優秀賞が選ばれ、さらにそこからグランプリが決定されるこの展覧会。今回は以下の3点が受賞作となった。
百兵衛ONLINEでは、グランプリを受賞した髙戸章のインタビューの掲載を予定している。
【第1会期最優秀賞受賞作品】
青木 風行《三崎めぐり》

【第2会期最優秀賞・グランプリ受賞作品】
髙戸 章《富士夕景》

【第3会期最優秀賞受賞作品】
工藤 牧子《はかない雪》

第10回という節目を迎えた「サロン・ド・アール・ジャポネ」。海を越え、言葉の壁を越え、芸術を愛する人々の集う"サロン"は、確かな存在としてこの地に根付いているようだ。
■オンラインギャラリー https://salon-de-lart.com