美術によるフランスと日本の架け橋となるべく、2019年の秋に始まった「サロン・ド・アール・ジャポネ」。8回目の開催となった今展は会期を四つに分け、2月28日から3月25日までの日程で開催された。桜をあしらった飾り付けに加えてキャプションやパネルも和風のデザインでまとめるなど、まるで日本の春をパリに届けるような季節感豊かなサロンとなり、好評だったようだ。
第1会期 [2月28日〜3月4日]
抽象絵画を中心に写真作品なども展示されたこの会期の来場者からは、次のような感想が寄せられた。「いくつもの出展作から日本文化の豊かさを感じた」「それぞれの作品にそれぞれの物語がある」「ここはパリなのに、まるで日本を旅行しているかのようだ」
第2会期 [3月6日〜11日]
Facebookのイベントページを見て来場した人が多かったこの会期の出展作は、書など“和”を感じさせるもの。「伝統的でありながら前衛を感じさせる展覧会」「墨と紙が調和した素晴らしい作品の数々に魅了された」「繊細かつ大胆な線の表現が美しい」といった声が聞かれた。
第3会期 [3月13日〜18日]
この会期には若さが感じられる新しいタイプの絵画作品が多く展示され、「視覚的かつ感情的な体験ができる展覧会だった」「細部に至るまで考え抜かれており、印象的だ」「多くの作品が、Kawaiiのひと言に尽きる!!」といった感想が、来場者から寄せられていた。
第4会期 [3月20日〜25日]
主に写実的な絵画が展示されたこの会期。「どの作品も独創的なストーリーを物語っている」「日本人ならではの繊細さと独得の色彩が魅力的だ」「大胆な構図と絶妙な光の使い方が、美を演出している」などと語る来場者たちの多くが、日本を訪問したいと思ったようだ。
この展覧会の総合監修を務めたフランス芸術家協会(ル・サロン)絵画部門代表のアラン・バザールは次のような感想を残している。
パリなどフランス国内はもちろん、海外からも訪れた多くの来場者たちが、多種多様なアートを楽しんでいました。私自身も作品一点一点を分析し、評するという光栄と喜びを得ることができました。私のコメントが、出品作家それぞれの国際的キャリアをより豊かにすることを願っています。
4会期それぞれで最優秀賞が選ばれ、さらにそこからグランプリが決定されるこの展覧会。今回は以下の4点が受賞作となった。
百兵衛ONLINEでは、グランプリを受賞した浅野勉のインタビューを掲載している。
【第4会期最優秀賞・グランプリ受賞作品】
浅野 勉 《北欧のヴィーナスⅡ》
【第1会期最優秀賞受賞作品】
廣瀬 駿之介 《苦嚢》
【第2会期最優秀賞受賞作品】
関口 鶴情《墨藝》
【第3会期最優秀賞受賞作品】
麻田 満代《デイジー》
なお、今年9月25日から10月14日にかけて、「第9回 サロン・ド・アール・ジャポネ 2024」が開催される。年に2回、定期的に催されている「サロン・ド・アール・ジャポネ」。同展に対するパリの美術ファンの期待値はますます高まりつつある。この舞台を契機にして、日本の多くのアーティストたちが世界のアートシーンへと飛躍していくことだろう。
■オンラインギャラリー https://salon-de-lart.com
[information 今後の開催予定]
■第9回 サロン・ド・アール・ジャポネ 2024(秋)
・会期 2024年9月25日(水)〜10月14日(月)
・会場 リンダ・ファレル・ギャルリー(フランス・パリ)
■URL https://www.reijinsha.com/exhibition/2020/03/26/salonlinda-2/