展覧会

佐野美術館創立55周年・三島市制80周年 記念 
名刀百花

 会場
佐野美術館
 会期
1/8(土)〜2/13(日)

国宝 太刀 銘 一(いち) 鎌倉時代 個人蔵

 

悠久の時を超えて輝く日本刀。日本刀が誕生した平安時代より、それぞれの時代を代表する名匠が現れ、各時代を象徴するかのような名刀を世に残した。平安時代の備前を代表する正恒まさつね、後鳥羽院の御番鍛冶ごばんかじを務めた粟田口あわたぐち国安くにやす、鎌倉幕府のお膝元で鍛刀たんとうした相州そうしゅう正宗まさむね、新刀の祖・堀川ほりかわ国広くにひろ。彼らが打った刀剣は、大切に現代へと受け継がれている。

日本刀は武器でありながら、日本文化を表徴する美術品。摩訶不思議な由緒や、持ち主の名前をおりまぜた独自の呼称を持ち、その名が文化的背景を物語ることも少なくない。

本展では、長篠ながしのの戦いでの功を賞し織田信長が奥平おくだいら信昌のぶまさに下賜した「長篠一文字いちもんじ」、疱瘡ほうそう快癒の祝儀として徳川将軍家に代々伝わった「疱瘡正宗」、トンボが先に触れて真二つになったという逸話が残る本多ほんだ忠勝ただかつの名槍「蜻蛉とんぽ切」など、興味深い号をもつ刀剣が揃う。

重要文化財 刀 無銘 正宗 鎌倉時代 佐野美術館蔵

大笹穂槍 銘 藤原正真作〈号 蜻蛉切〉 室町時代 個人蔵

 

「名物 松井江まついごう」の刀とこしらえは、本展で四半世紀ぶりに再会することとなる。この朱漆塗りの打刀うちがたな拵は、「松井江」の名の由来である肥後国八代やつしろ城主松井家で大切に保管されてきたものだ。

右:重要文化財 刀 朱銘 義弘/本阿(花押)〈名物 松井江〉 鎌倉時代 佐野美術館蔵
左:朱塗鞘打刀拵(名物松井江の拵) 桃山~江戸時代 一般財団法人松井文庫蔵

 

また、修復が完了したことを記念し、高野山伝来の重要文化財『沈金ちんきん獅子しし牡丹文ぼたんもんなが覆輪ふくりん太刀たち拵』も展示される。漆工の技法「沈金」で装飾された太刀拵は珍しく、しかもこの作品は、最初期の作例のひとつである。

重要文化財 沈金獅子牡丹文長覆輪太刀拵 室町時代 個人蔵

 

良質な鋼と鍛錬による澄んだ地鉄じがね、刀工の個性が光る刃文はもんなど、日本刀の美しさは観る者を魅了してやまない。百花の如くそれぞれの魅力を放つ名刀を堪能しよう。

[information]
佐野美術館創立55周年・三島市制80周年記念 名刀百花
・会場 佐野美術館
・会期 2022年1月8日(土)〜2月13日(日)
・住所 静岡県三島市中田町1-43
・電話 055-975-7278
・時間 10:00~17:00(入館受付は16:30まで)
・休館日 木曜日
・観覧料 一般・大学生1,100円、小・中・高校生550円
※毎週土曜日は小中学生無料
・URL  https://www.sanobi.or.jp/