展覧会

琳派展23 琳派の扇絵と涼の美

会場
細見美術館
会期
6/10(土)〜8/20(日)

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実業家で日本美術コレクターの細見古香庵ここうあん(1901〜1979)に始まる細見家三代の蒐集品を基礎として、1998年に開館した細見美術館。琳派、伊藤若冲といった江戸絵画だけでなく、神道や仏教美術から茶の湯まで、日本美術の幅広い分野と時代を網羅したコレクションは、同館の企画展の主軸となっている。

琳派展の第23弾となる本展では、細⾒美術館のコレクションを中⼼に、扇絵や団扇絵、夏秋の草花図などを通じて涼を感じさせる美術品が展覧される。

細見美術館 外観

細見美術館 外観

琳派の創始者として知られる俵屋宗達(生没年不詳)は、江戸時代に京都で「俵屋」という屋号の絵画工房を営んでいた。そうした工房は当時「絵屋」と呼ばれ、扇絵や屛風絵、料紙の下絵などを制作していたと考えられている。中でも扇絵は、俵屋の看板とも言える品で、その独創的な意匠は後に屛⾵などの⼤画⾯に明快な画⾵を展開する原点ともなった。

扇絵や団扇絵などは、尾形光琳、中村芳中、酒井抱⼀ら宗達以降の絵師たちも積極的に⼿掛け、デザイン性の⾼い⾝近な調度として親しまれた。さらに琳派では朝顔など夏の草花図も多く描かれ、爽やかな画⾯は凌ぎ難い夏の暮らしに涼味をもたらした。

本阿弥光悦 書 俵屋宗達 下絵 《萩薄下絵和歌書扇面》 江戸前期 細見美術館蔵

本阿弥光悦 書 俵屋宗達 下絵《萩薄下絵和歌書扇面》 
江戸前期 細見美術館蔵

尾形光琳《宇治橋図団扇》江戸中期 細見美術館蔵

尾形光琳《宇治橋図団扇》江戸中期 細見美術館蔵

展覧会構成

1. 琳派の扇絵・団扇絵

「扇は都 俵屋」と仮名草⼦『⽵斎』(1621年頃成⽴)に記されたように、都で⾼い評判を得ていた俵屋の扇。宗達を先鞭とする琳派の扇絵や団扇絵の制作は、以降の琳派の絵師たちにも受け継がれ、特殊な形を活かした明快でスタイリッシュな作⾵が⼈々に愛好された。
この章では、琳派絵師たちによる個性豊かな扇絵や団扇絵のほか、画中に扇⼦や団扇を描いた作品が紹介される。

酒井抱一 扇面貼交屛風(右隻)江戸後期 細見美術館蔵

酒井抱一《扇面貼交屛風》(右隻) 江戸後期 細見美術館蔵

2. 涼を呼ぶ夏秋の草花図

⽇本の四季や⽉次の景物を多く描くやまと絵の流れにおいて、とりわけ琳派では夏に因む画題が⾒出された。従来のやまと絵ではあまり取り上げることのなかった⽴葵、朝顔、向⽇葵などが江⼾後期の琳派で積極的に描かれた背景には、園芸ブームの影響もあったようだ。初秋の⾵趣を描く秋草図も、季節を先取りする夏座敷の涼やかな演出として好んで⽤いられた。
琳派の絵師たちはどのような視点で、夏秋の草花を屛⾵や掛軸に描いたのだろうか。
ぜひ細見美術館が誇る優品の数々から、日本ならではの涼の美を堪能してほしい。

渡辺始興《簾に秋月図》 江戸中期 細見美術館蔵

渡辺始興《簾に秋月図》 
江戸中期 細見美術館蔵

[information]
琳派展23 琳派の扇絵と涼の美
・会期 2023年6月10日(土)〜8月20日(日)※一部展示替えあり
・会場 細見美術館
・住所 京都市左京区岡崎最勝寺町6-3
・時間 10:00〜17:00(入館は16:30まで)
・休館日 月曜日(祝日の場合、翌火曜日)
・入館料 一般1,400円、学生1,100円
・TEL 075-752-5555
・URL https://www.emuseum.or.jp