展覧会

静岡市美術館開館15周年記念展 
柚木沙弥郎 永遠のいま

会場:静岡市美術館 会期:8/16(土)〜10/13(月・祝)

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あかるく、自由に、のびやかに
──代表作でたどる染色家の101年

柚木沙弥郎《ならぶ人ならぶ鳥》画像

柚木沙弥郎《ならぶ人ならぶ鳥》 1983年 世田谷美術館

 

惜しまれつつも、2024年に101歳の生涯を閉じた、東京出身の染色家、柚木ゆのき沙弥郎さみろう(1922-2024)。柳宗悦らの民藝の思想に出会い、芹沢銈介のもとで染色の道を歩みはじめた柚木は、清水や由比で修業時代を過ごした、静岡にゆかりのある作家だ。
この展覧会は、染色作品を主軸に、版画や絵本、立体作品などジャンルの垣根を越えて広がった柚木の創作活動の全貌を、初公開となる最晩年のコラージュを含む約300点の作品と資料により紹介するもの。身の回りのものに対する愛着や日々の暮らしの喜びから作品を紡ぎ出した柚木の仕事は、大切に慈しみたい「いま」を観る者に示してくれる。のびやかな形と美しい色彩による、生命力あふれる作品をぜひ会場で楽しんでほしい。

展覧会の構成

1. 民藝はずっと僕の根っこにある
芹沢銈介に憧れて染色の道に進んだ柚木は型染かたぞめを学び、その一種である注染ちゅうせん技法に取り組んでいる。彼は浴衣や手ぬぐいなど小幅の布を染める技法だった注染を、試行錯誤の末に広幅の布地へと応用することに成功し、生活の洋風化にも対応できる染めものを展開した。

柚木沙弥郎《注染ロマネスク文布》画像

柚木沙弥郎《注染ロマネスク文布》(部分) 1959年 日本民藝館


2. ワクワクしなくちゃ、つまらない

1980年代、自らの仕事に自己模倣の恐れを感じた柚木は、版画やガラス絵、立体造形など新たな表現手法に活路を求め、絵本の制作にも取り組むなど、その創作世界はますます豊かになった。一方、服地としての需要の減少を背景に、染色作品は実用から開放され、自然と自分自身のための「作品」として制作するように変化したという。

柚木沙弥郎《『トコとグーグーとキキ』絵本原画》画像

柚木沙弥郎《『トコとグーグーとキキ』絵本原画》 2004年 公益財団法人 泉美術館


3. 旅の歓び

この章では、「柚木を巡る旅」をテーマに、作家ゆかりの地や柚木の国内外への旅にまつわる作品や資料が紹介される。民藝との出会いの地である岡山県、青春を過ごした地の長野県松本市、染色修業の起点となった静岡県、憧れの詩人宮沢賢治の故郷である岩手県、柚木と親交厚い舩木家の窯元を擁する島根県には、それぞれ柚木との関わりを物語る作品や資料が残されているのだ。また、制作に大いに影響を与えたインドや憧れの地パリへの旅を巡る制作も合わせて紹介される。

4. 今日も明日は昨日になる
「物心がついたのは80歳になってから。」とは、ユーモアたっぷりな柚木の言葉である。実際に2000年代以降、柚木の活動の場はさらに大きく広がっていった。インテリアショップ・イデー(IDÉE)での展示や、カフェやホテルなど商業空間のための制作など、若い世代との協働も新たな刺激となったようだ。2011年の東日本大震災や2020年からのパンデミックなど困難が続く時代にあって、柚木の作品の自由さ、力強さは一層輝きを増し、暮らしを明るく彩ってくれるのである。

柚木沙弥郎《型染布「2016」》画像

柚木沙弥郎《型染布「2016」》 2016年 日本民藝館

柚木沙弥郎について

1922年、洋画家・柚木久太の次男として東京に生まれた柚木沙弥郎は、東京帝国大学文学部美学美術史学科在学中に学徒出陣、静岡県牧之原の大井海軍航空隊基地で終戦を迎えた。戦後は父の生家のある倉敷へ復員し、就職した大原美術館で、柳宗悦らの民藝の思想と芹沢銈介の型染カレンダーに出会い、染色を志した。芹沢の紹介により静岡県・由比の正雪紺屋で染色の基礎を学び、日本民藝館展や国画会、芹沢門下の萠木会、そして全国の民藝店での個展などを通じて、自由でのびやかな形と豊かな色彩の染色作品を数多世に送り出していく。
また、1950年から女子美術大学工芸科で長らく教育にも携わり、1987年から1991年までは学長を務めるなど後進の育成にも足跡を残している。1980年代以降は染色を主軸にしながらも、版画やコラージュ、絵本、立体作品、ガラス絵など創作世界を広げた。2000年代に入ると、インテリアショップ・イデー(IDÉE)での展覧会や、カフェやホテル内のアートワーク、企業との協働による製品づくりなど、現代の暮らしと結びついた活動でも知られるようになる。一方、実用を離れた自由な表現としての染色作品を制作し続けた。

柚木沙弥郎《小鳥》画像

柚木沙弥郎《小鳥》 1992年 坂本善三美術館

関連事業

しずびオープンアトリエ
春・夏の年2回、展覧会に関連したオリジナル創作プログラムを実施。
日時:8月21日(木)~31日(日) ①13:30~ ②15:00~(各回約1時間) ※月曜休館
会場:静岡市美術館ワークショップ室
対象:小学生以上(各回10名)
※見学・付添不可
※未就学児は保護者同伴であれば参加可(未就学児1名につき保護者1名の2名で1作品)
参加料
:300円(受付で当日12:00より販売するチケットを購入)
申込:不要(当日先着順)

学芸員によるギャラリートーク
学芸員が展覧会の見どころを解説。
日時:9月6日(土)、9月23日(火・祝) 14:00~(40分程度)
参加料:無料(要観覧券)
申込:不要(当日受付前に集合)

体験レクチャー「布と型紙で表現するということ ―女子美の染色教育の実践から―」
柚木沙弥郎の染色作品について、作り手の視点から、素材や技法の紹介などを交えて解説する。また、染色作品の実物に触れる体験も実施。
日時:9月20日(土)14:00〜15:30(開場13:30)
講師:荒姿寿(染色家、女子美術大学准教授)
会場
:静岡市美術館多目的室
参加料
:無料
定員:50名(応募多数の場合は抽選)
申込
:静岡市美術館HP申込フォームまたは往復はがきにて申し込み(1件につき4名まで申込可)
※2025年9月4日(木)必着
※詳細は静岡市美術館HP(下記URL)を参照

⚫︎実施状況は急遽変更となる可能性あり(静岡市美術館HPに最新情報を掲載)

[information]
静岡市美術館開館15周年記念展 柚木沙弥郎 永遠のいま
・会期 8月16日(土)〜10月13日(月・祝)
・会場 静岡市美術館
・住所 静岡市葵区紺屋町17-1 葵タワー3階
・時間 10:00〜19:00(展示室への入場は閉館の30分前まで)
・休館日 月曜日、9月16日(火)
※9月15日(月・祝)、10月13日(月・祝)は開館
・観覧料 一般1,400円、大高生・70歳以上1,000円、中学生以下は無料
※障がい者手帳等を持参の方および必要な付添の方原則1名は無料
・TEL 054-273-1515(代表)
・URL https://www.shizubi.jp