展覧会

開館10周年記念展 第2部 
「歌麿と北斎 ―時代を作った浮世絵師―」

会場
岡田美術館
会期
6/11(日)〜12/10(日)

次々と新しいスタイルの作品を生み出し、大衆の心をつかんだ浮世絵師、喜多川歌麿と葛飾北斎。二人はほとんど同時期に画壇に登場したが、先に美人画で人気を博したのが歌麿だった。一方の北斎は、風俗画、風景画、花鳥画、武者絵など美人画にだけでなく多彩な画題に挑戦し、90年の長い生涯に数えきれないほどの作品を残した。

2023年10月に開館10周年を迎える岡田美術館では、これを記念する企画展の第2部として「歌麿と北斎 ―時代を作った浮世絵師―」を開催している。
本展では、歌麿と北斎の肉筆美人画をはじめ、歌麿の晩年の傑作『深川の雪』(展示期間:9/8〜12/10 ※左記以外は高精細の複製画を展示)や、北斎の版画の代表作「冨嶽三十六景」や春画の名品「浪千鳥なみちどり」が紹介される。また、二人と同時代、およびその前後の画家の作品約40件も観ることができる。

展覧会の見どころ

1. 歌麿 vs 北斎 美人画対決

喜多川歌麿《三美人図》(部分)江戸時代中期 18〜19世紀 岡田美術館蔵

喜多川歌麿《三美人図》(部分)江戸時代中期 18〜19世紀 
岡田美術館蔵

葛飾北斎《傾城図》(部分)江戸時代後期 19世紀前半 岡田美術館蔵

葛飾北斎《傾城図》(部分)江戸時代後期 19世紀前半 
岡田美術館蔵

完璧な美しさを誇る「理想の女性」が好まれていたなかで、歌麿は人間らしい感情をもった「生身の女性」を描き、美人画に革新をもたらした。『三美人図』(左上)に描かれた花魁たちのリラックスした素の表情は、歌麿だからこそ描くことができたものだろう。その表情や仕草に心の動きをも込めた「歌麿美人」の特質は北斎にも受け継がれ、一人ひとりに個性を備えた女性像が生み出された。北斎が『傾城図』(右上)に描いたのは、凄みの効いた妖艶な女性像。50代の北斎が描いた数少ない肉筆美人画のひとつである。
本展では、北斎の師である勝川春章や近代日本画の巨匠・上村松園の作品を併せて展示。歌麿と北斎をはじめ、多様な美人画の競演を楽しめる貴重な機会だ。

2. 歌麿晩年の傑作『深川の雪』を徹底解剖

喜多川歌麿《深川の雪》(部分)江戸時代 18〜19世紀 岡田美術館蔵

喜多川歌麿《深川の雪》(部分)江戸時代 享和2〜文化3(1803〜1806)年頃 岡田美術館蔵
※展示期間;9/8〜12/10

『深川の雪』は、縦2m、横3.5mの大画面に芸者や遊女をはじめ、26名の女性たちが躍動する歌麿の集大成。かつて栃木の豪商である善野ぜんの家が所蔵していたが、昭和27(1952)年の展示を最後に60年ものあいだ行方不明だった。2012年に奇跡的に発見され、岡田美術館の収蔵となる。
たびたび展示で親しまれてきたこの大作を、様々な角度から読み解く本展。場面や登場人物、舞台となった深川という場所、栃木とのつながりなど、絵の中に隠された意味や作品にまつわる謎に注目してほしい。

3. 創造と革新 北斎、森羅万象を描く

葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》江戸時代 天保2〜4年(1831〜33) 岡田美術館蔵

葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」江戸時代 天保2〜4(1831〜1833)年 岡田美術館蔵
※展示期間:8/8〜10/10

その大半を美人画が占めていた肉筆浮世絵の世界で、北斎は女性に留まらず、風景や花鳥をはじめあらゆるものを絵の題材とした。真摯に絵と向き合い精進を続けた北斎は、年を重ねるごとに表現の幅を広げ、その作品は益々深みを増していったのだ。風景画ブームを巻き起こした「冨嶽三十六景」は、なんと彼が70歳を過ぎて生み出した版画シリーズ。本展では、浮世絵師の枠に収まらないほど多彩な北斎の画業が紹介される。

葛飾北斎《四季耕作図屏風》(部分)江戸時代後期 19世紀初頭 岡田美術館蔵

葛飾北斎《四季耕作図屏風》(部分)江戸時代後期 19世紀初頭 岡田美術館蔵

 

関連イベント

特別対談!河野元昭氏と小林忠館長が語る歌麿・北斎
日時:2023年9月30日(土)13:00〜14:30
登壇者:河野元昭氏(東京大学名誉教授/静嘉堂文庫美術館館長)、小林忠氏(岡田美術館館長)
※要事前申込 TEL:0460-87-3931

講演会 
・歌麿の「雪月花」3大幅

日時:2023年7月29日(土)13:00〜14:30
講師:小林忠氏(岡田美術館館長)
※要事前申込 TEL:0460-87-3931

・北斎の「冨嶽三十六景」と『富嶽百景』
日時:2023年10月28日(土)13:00〜14:30
講師:小林忠氏(岡田美術館館長)
※要事前申込 TEL:0460-87-3931

関連講座 
・歌麿と北斎の美人画
日時:2023年8月26日(土)13:00〜14:30
講師:稲墻朋子氏(岡田美術館学芸員)
※申込不要

ギャラリートーク 
・館長によるギャラリートーク
日時:2023年6月22日、7月6日、8月24日、9月7日、10月12日、11月9日・30日
いずれも木曜日 13:30〜
※申込不要

・学芸員によるギャラリートーク
日時:2023年6月23日〜12月1日
毎週月・金曜日 11:00〜(月曜日:常設展示、金曜日:歌麿と北斎)
※申込不要

[information]
開館10周年記念展 第2部「歌麿と北斎 ―時代を作った浮世絵師―」
・会期 2023年6月11日(日)〜12月10日(日)
・会場 岡田美術館
・住所 神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷493-1
・時間 9:00〜17:00(入館は16:30まで)
・休館日 会期中無休
・入館料 一般・大学生2,800円、小中高生1,800円
・TEL 0460-87-3931
・URL https://www.okada-museum.com