展覧会

パリに生きた画家たち 
マルケ、ユトリロ、佐伯祐三、荻須高徳が見た風景

会場:ヤマザキマザック美術館 会期:2022/10/28(金)
〜2023/2/26(日)

チケットプレゼント

パリに生きた画家たち ポスター画像

ポスター画像

ヤマザキマザック美術館は、初代美術館館長・山崎照幸(1928〜2011年)が収集したフランス美術300年の流れを一望できるコレクションを公開することを目的として、 2010年4月23日にオープンした。美術館の母体である「ヤマザキマザック株式会社」は、金属部品加工の工作機械を製造するグローバルカンパニー。工作機械は、先端産業である自動車、航空機、船舶、人工衛星、時計、携帯電話、人工骨などの金属部品を加工する機械で、世界中の製造業の基盤を支えている。

アルベール・マルケ《ノートルダムの後陣》画像

アルベール・マルケ《ノートルダムの後陣》1902年 油彩/キャンバス 愛知県美術館

今年で開館12年目を迎える同館は、10月28日から2023年2月26日までの期間、「パリに生きた画家たち マルケ、ユトリロ、佐伯祐三、荻須高徳が見た風景」展を開催している。

パリを愛し、パリを描き続けた4人の画家たち、アルベール・マルケ(1875〜1947年)、モーリス・ユトリロ(1883〜1955年)、佐伯祐三(1898〜1928年)、荻須高徳(1901〜1986年)。パリやその近郊は、マルケとユトリロにとっては慣れ親しんだ愛着のある街、佐伯と荻須にとっては「絵を描こうとする喜びをよびさます」憧れの街であり、尽きることのない創造の源泉だった。

アルベール・マルケ《ノートルダム 曇天》画像

アルベール・マルケ《ノートルダム 曇天》1924年頃 油彩/キャンバス BBプラザ美術館

この展覧会では、19世紀フランスの邸宅を思わせる同館の展示室に、20世紀初頭から1970年代に至るまでのパリやその近郊を描いた作品が並ぶ。1人の画家が時を違えて同じ場所を描いた2つの作品の表現の違いや、異なる画家が同じ場所を描いた作風の違いも楽むことができる構成となっている。
併せて展示される荻須高徳が山崎照幸夫妻に送った書状からは、画家とコレクターの交流も垣間見ることができるだろう。

佐伯祐三《洗濯屋》画像

佐伯祐三《洗濯屋》1925年 油彩/キャンバス 個人蔵

展覧会の見どころ

4人の画家たちが描き出すパリ風景の優品が大集合

マルケが窓から見下ろして描いたパノラマのような風景に、パリに生まれ育ったユトリロが描く哀愁漂う下町モンマルトルの風景。短い人生を燃やし尽くすかのように激しい筆触と暗い色彩で佐伯が描いた街角、荻須の明快な構成と落ち着いた色調で描き出す街並み。いずれ劣らぬパリ風景の優品が展示室に並ぶ。

佐伯祐三《プティ・レストラン》画像

佐伯祐三《プティ・レストラン》1927年 油彩/キャンバス 個人蔵

比較して楽しむ

マルケが自宅のアパートから眺めたセーヌ川にかかる橋「ポン・ヌフ」。《ポン・ヌフとサマリテーヌ》と《ポン・ヌフ夜景》では、橋が昼と夜とで違った表情を見せている。
また、アルコール中毒になったユトリロが静養していた診療所があったパリ近郊のサノワは、18世紀の古い風車で有名な街。この街の風景をユトリロは繰り返し描いており、同展にはサノワを描いた2つの作品《サノワの風車》と《サノワの製粉場》が出品される。
大勢の画家に描かれてきたモンマルトルの有名な風車「ムーラン・ド・ラ・ガレット」も、ユトリロ《ムーラン・ド・ラ・ガレット》と荻須高徳《ムーラン・ド・ラ・ギャレット》で、この風車を異なる角度から捉えた二人の作風の違いが窺える。
表現の違い、個性の違いを比べることで、作品をより楽しめるに違いない。

モーリス・ユトリロ《ムーラン・ド・ラ・ガレット》画像

モーリス・ユトリロ《ムーラン・ド・ラ・ガレット》1910年頃 油彩/厚紙 ポーラ美術館

山崎照幸愛蔵の荻須高徳《風景》を初公開

同時代の日本人作家にも興味を持っていた山崎照幸。愛知県稲沢市出身の荻須高徳もその一人だ。この展覧会では、山崎が愛蔵していた荻須高徳《風景》が初公開される。パリ近郊の田園風景を描いたこの小品からは、パリの街路を描いた作品とは異なる、のびやかな美しさが感じられるだろう。

山崎照幸夫妻宛の荻須高徳の書簡を初公開

本展が初公開となる荻須高徳が山崎照幸夫妻に出した礼状には、パリでの邂逅を懐かしむ内容と、山崎照幸夫人が帰国後に荻須高徳夫妻に送った贈答品へのお礼が記されている。画家とコレクターとの交流が窺える貴重な資料だ。

モーリス・ユトリロ《ラパン・アジール》画像

モーリス・ユトリロ《ラパン・アジール》1913年頃 油彩/キャンバス 名古屋市美術館

同展は愛知県美術館、稲沢市荻須記念美術館、名古屋市美術館、BB プラザ美術館、ポーラ美術館、四日市市立博物館、個人所蔵家の所蔵作品に加え、ヤマザキマザック美術館所蔵のマルケ《パリ、ルーヴル河岸》、ユトリロ《サノワの風車》、《マルカデ通り》のほか、山崎照幸が愛蔵していた荻須高徳《風景》が一堂に会するまたとない機会だ。その数は、マルケ作品7点、ユトリロ作品10点、佐伯作品8点、荻須作品27点の、計52点。個性あふれる4人の画家たちの創作世界を、ぜひ堪能していただきたい。

※出品作品のうち、四日市市立博物館所蔵の佐伯祐三《エッフェル塔の見える街角》は前期のみ出品。荻須高徳の版画作品10点は会期半ばで展示替を行ない、前期5点、後期5点が出品される。

モーリス・ユトリロ《サン=ヴァンサン通りとサクレ=クール寺院》画像

モーリス・ユトリロ《サン=ヴァンサン通りとサクレ=クール寺院》1916年頃 
油彩/パネルに貼り付けたキャンバス 個人蔵

[information]
パリに生きた画家たち
マルケ、ユトリロ、佐伯祐三、荻須高徳が見た風景
・会期 2022年10月28日(金)〜2023年2月26日(日)
・会場 ヤマザキマザック美術館 5階展示室
・住所 愛知県名古屋市東区葵1-19-30
・時間 平日10:00~17:30 / 土・日・祝日 10:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
・休館日 月曜日 ※1月9日(月)は開館、1月10日(火)、年末年始(12月29日~1月4日)
・入館料 一般1,300円、小・中・高生500円、小学生未満無料
※各種障害者手帳をご提示の方とその同伴者1名は1,100円
※音声ガイド無料サービス
・TEL 052-937-3737
・URL https://www.mazak-art.com

error: このコンテンツのコピーは禁止されています。