展覧会

京都を歩こう #4

展覧会
〈ザ・トライアングル 米村優人:BAROM(あるいは幾つかの長い話)〉

会場:京都市京セラ美術館
会期:6/20(火)〜9/24(日)
カフェ
ENFUSE

場所:京都市京セラ美術館内 正面エントランス
時間:10:30〜19:00

展覧会イメージ画像

米村優人は主に彫刻を用いたインスタレーション作品を制作する作家である。神話上の神々や昭和のヒーローなど「超人」たちへの憧れや畏怖を持ちながらも、その人体彫刻は手、足、頭部などがバラバラに展示される。古典的な彫刻が本来持っている荘厳さや完全性は台なしとなり、崇高の念を雲散霧消させるように再構成する手法は、作家の大きな特徴と言えるだろう。
米村は、彫像を意味するギリシャ語のアガルマ(agalma/「像」)と英語のマン(man/「人」)を合わせた「アガルマン (agaruman)」シリーズなどを継続して制作してきた。これらは発泡スチロール等を素材とし、FRP塗布による「擬似ブロンズ」の制作工程を応用したもの。こうした作品を制作する上で彼は、弱さや失敗、不完全さに注意を向けてきた。それは、多くの彫像が持つ男性性を強調するような強さ、立派さ、崇高さの対極にあるものと言えるかもしれない。

「BAROROMSQUAUD/1人でも立ってられるって!」展示風景

「BAROROMSQUAUD/1人でも立ってられるって!」展示風景、2022年
撮影:岡はるか

タイトルの「BAROM」は1970年代に放送された特撮ヒーローもののTV番組「超人バロム・1」からの引用。このドラマは、二人の少年が合体して一人の正義の超人となる物語だった。また、「幾つかの長い話」は、制作の過程や極めて個人的なストーリーと、ギリシャ、ローマ時代から現代に至る彫刻史の双方を意味する作品。そこには古典彫刻の「崇高なる美の具現」に対する、畏怖の念とある種の反発からくる愛憎半ばした作家の感情が込められているようだ。
新作、旧作、および旧作の再構成などから成るこの展覧会は、現代的な感性によるキッチュさと作家の日常を織り交ぜながら、個人的なストーリーと彫刻史を往還する取り組みである。鑑賞者はそこに、作家の真摯さと今日的なリアリティを見ることができるのではなかろうか。

「我(We)」展示風景

「我(We)」展示風景、2022年
撮影:岡はるか

米村優人 Yuto Yonemura
美術家。1996年大阪府生まれ。京都市在住。2019年、京都造形芸術大学(現 京都芸術大学)美術工芸学科総合造形コース卒業。近年の展覧会等に、屋外彫刻《AGARUMANS (Best Friend)》(グランフロント大阪、2021年)、個展「BARORORM SQUAD 1人でも立ってられるって!」(NEUTRAL、京都、2022年)、個展「我(WE)」(COHJU contemporary art、京都、2022年)、小笠原周、熊谷卓哉との3人展「問題のシンボライズ −彫刻・身体・男性性−」(ホテル・アンテルーム京都、2022-2023年)、倉知朋之介との2人展「NSFS/止め処ないローレライ」(EUKARYOTE、東京、2023年)など。
米村優人プロフィール画像

「ザ・トライアングル」について

「ザ・トライアングル」は、京都市京セラ美術館のリニューアルオープンに際して新設された展示スペース。京都ゆかりの作家を中心に新進作家を育み、同館を訪れる人々が気軽に現代美術に触れる場となるよう意図したものだ。ここでは「作家・美術館・鑑賞者」を三角形トライアングルで結び、つながりを深めることを目指して、スペース名「ザ・トライアングル」を冠した企画展シリーズを開催し、京都から新しい表現を発信している。

──この展覧会に行ったら──
京の食材も、岡崎公園の四季も、一緒に味わおう
ENFUSE

サルシッチャと旬の野菜プレート

サルシッチャと旬の野菜プレート ¥1,800

 

京の素材をふんだんに使ったおかずプレートや、地元のベーカリーで焼かれたパンで作るサンドイッチなど、つくり手の顔が見えるメニューに加え、岡崎公園や疏水で楽しめるピクニックセット*を用意する「ENFUSE」。
京都市京セラ美術館に併設されたこのカフェは、アート鑑賞の前後はもちろん、京都・岡崎エリアの四季を楽しみたい時など、様々なシーンで特別なひとときを演出してくれる。

季節のショートケーキ

季節のショートケーキ ¥850

旬のフルーツのタルトレット

旬のフルーツのタルトレット ¥850

 

料理だけでなく、丁寧に焙煎された豆で淹れるコーヒーやスイーツ、クラフトなアルコールドリンクなど、1日を通して表情を変えるENFUSE。アートと過ごす時間を、一層豊かなものにしてくれることだろう。

*ピクニックプランは利用の3日前までに要予約。ただし7月〜9月中旬まではシーズンオフ。
https://www.tablecheck.com/shops/enfuse-pickup/reserve

[information]
ENFUSE(エンフューズ)
・場所 京都市京セラ美術館 正面エントランス
・時間 10:30〜19:00
・定休日 美術館休館日に準ずる
・TEL 075-751-1010
・URL https://kyotocity-kyocera.museum/cafehttps://enfuse.jp

[information]
ザ・トライアングル 米村優人:BAROM(あるいは幾つかの長い話
・会期 2023年6月20日(火)〜9月24日(日)
・会場 京都市京セラ美術館 ザ・トライアングル
・住所 京都市左京区岡崎円勝寺町124
・時間 10:00~18:00
・休館 月曜日 ※祝日の場合は開館
・観覧料 無料
・TEL 075-771-4334
・URL https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition/20230620-20230924