アートイベント

岡山芸術交流2022 
Okayama Art Summit 2022

会場
岡山市内10ヶ所
会期
9/30(金)〜11/27(日)

「岡山芸術交流」とは、岡山市で3年ごとに催される国際現代美術展。2016年に始まり、今年で3回目の開催となる。9月30日から11月27日の51日間の日程で開かれている「岡山芸術交流2022」では、アーティスティックディレクターにリクリット・ティラヴァーニャ(Rirkrit Tiravanija)が迎えられた。岡山城、岡山後楽園周辺エリアの様々な歴史文化施設が会場となっている。

Rirkrit Tiravanija

Rirkrit Tiravanija, Photo by Pauline Assathinay

僕らは同じ空のもと
夢をみているのだろうか

「岡山芸術交流2022」のタイトルとして設定されたのが、「僕らは同じ空のもと夢をみているのだろうか」だ。リクリット・ティラヴァーニャはこれについて次のように語っている。

疑問文としてすべての要素を備えていながらも文末に疑問符のないこのセンテンスは、アイディアの入り口にしかすぎません。

この数年間、世界的パンデミックに加え、アメリカ国内の白人至上主義や世界各地のナショナリスト的ポピュリストの趨勢が強まってきたという背景を踏まえて、私はこの展覧会を私たちの意識や視点を変革するものにしたいと考えています。

こうしたさまざまな思いを巡らし、次回の岡山芸術交流2022については、できれば「旅人」という共通の背景を持つアーティストの周辺的な活動に特に集中したいと考えています。「旅人」というのは、選定されたアーティストのほとんどが異質な文化的あるいは社会的背景を持っているという意味です。彼らの多くが、活動や制作拠点を西洋の芸術的ヘゲモニーの中心に置きながらも、その(西洋的)ヘゲモニーの中での自らの位置づけにおいては、西洋以外の立場からのアイデンティティが根底にあります。彼らの人生と歴史は、西洋との違いによって形作られているのです。

ここでいう夢は、違いのある空や、多元性のある空で見る夢、つまり、西洋的規範の周縁にある物語表現の中で見る夢を意味しています。私たち(参加者と鑑賞者)からすると自らが規範的とみなす世界の外にある表現を経験するということです。その夢は物語や人生に対して私たちを開き、希望や熱望、日々の社会構造のなかで触れる夢を超えたところにある、考え方、ものの見方、聞き方、そしてその存在の仕方に対して私たちを晒してくれるものなのです。

Rirkrit Tiravanija作品画像

Rirkrit Tiravanija, Untitled 2017 (Oil Drum Stage) / Tommy Simoens, Antwerp / Jonas Lampens


9月30日に開幕し、すでに多くの美術ファンが訪れている岡山芸術交流2022。今回初めて会場となる、後楽園、岡山神社、岡山天満屋を含む徒歩圏内の10会場に、国内外で活躍する13ヵ国28組の作家たちの作品90点超が展示されている。

Mari Katayama作品画像

Mari Katayama, possession #2429, 2022 / C-print / ©Mari Katayama

メイン会場となる旧内山下小学校は、校庭を無料ゾーンとするとともに、教室や体育館等で参加性のある展示展開がおこなわれる。いわば展覧会全体のコミュニティゾーンだ。校庭では、岡山芸術交流としては初めてクラウドファンディングを活用したリクリット・ティラヴァーニャの芝生のアート作品を展開。また体育館には、金沢21世紀美術館のコレクションとしても知られる曽根裕のユニークな滑り台の彫刻作品「アミューズメント・ロマーナ」と、大理石のステージで実際に演奏もできるリクリット・ティラヴァーニャの「Untitled 2017 (Oil Drum Stage)」という参加型の作品も設置された。日本初公開となる「Untitled 2017 (Oil Drum Stage)」は、曽根裕、大和田俊らがこの展覧会のために結成したUntitled band(Shun Owada and friends)や、写真家であり音楽評論家でもある能勢伊勢雄氏が主宰するライブハウス「PEPPERLAND」のプロデュースにより、会期中、150組を超えるバンド等が連日多様なパフォーマンスを展開している。

Yutaka Sone作品画像

Yutaka Sone, Amusement Romana, 2002 / Collection: 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa
Photo: KIOKU Keizo

Ryoji Ikeda作品画像

Ryoji Ikeda, data.flux [LED version]
©ALTERNATIVE KYOTO 2021 Imagination as a Form of "Capital"

その他の9会場(岡山県天神山文化プラザ、岡山市立オリエント美術館、シネマ・クレール丸の内、林原美術館、岡山後楽園、岡山神社、石山公園、岡山城中の段、岡山天満屋)でも、今という時代を写したような数多くの現代美術作品と出会うことができる。それらの会場は全て徒歩圏内とコンパクトに配置されているので、秋の爽やかな空気の中、ゆったりとアートを楽しんでほしい。それぞれのアーティストたちが見ている夢を、あなたも共有できるのではないだろうか。

Daniel Boyd作品画像

Daniel Boyd, Untitled (PI3), 2013, oil and archival glue on linen 214 x 300 cm
Courtesy of the Artist and Roslyn Oxley9 Gallery, Sydney

Frida Orupabo作品画像

Frida Orupabo, Girl on horse, 2021, collage with paper pins mounted on aluminium, 180 x 200 cm
Carl Henrik Tillberg / Courtesy the artist and Galerie Nordenhake Stockholm/Berlin/Mexico City

Apichatpong Weerasethakul作品画像

Apichatpong Weerasethakul, Fireworks(Archives), 2014 / © Apichatpong Weerasethakul

[information]
岡山芸術交流2022 Okayama Art Summit 2022
・タイトル Do we dream under the same sky 僕らは同じ空のもと夢をみているのだろうか
・日程 2022年9月30日(金)~ 11月27日(日) ※51日間
・時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
※一部、開催時間が異なる施設あり(下記の公式サイト等で要事前確認)
・休館日 月曜日
・会場
 旧内山下小学校、岡山県天神山文化プラザ、岡山市立オリエント美術館、
シネマ・クレール丸の内、林原美術館、岡山後楽園、岡山神社、石山公園、岡山城、岡山天満屋
・料金 一般1,800円、一般(県民)1,500円、シルバー(満65歳以上)1,300円、
団体(8名以上)1,300円、学生(専門学生・大学生)1,000円、単館500円、高校生以下無料
・主催 岡山芸術交流実行委員会(岡山市・公益財団法人石川文化振興財団・岡山県)
・公式サイト https://www.okayamaartsummit.jp/2022/

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