アートイベント

国際芸術祭「あいち 2022」

会場:愛知芸術文化センター、一宮市、常滑市、有松地区(名古屋市内)など 会期:7/30(土)〜 10/10(月・祝)

あいちロゴ

2010年から3年ごとに開催され、今回で5回目を迎える「あいち」 の国際芸術祭。前身の「あいちトリエンナーレ」、さらには2005年の愛知万博「愛・地球博」の環境問題やサスティナビリティへの意識を受け継ぐ芸術祭だ。国内最大規模の芸術祭であるこの催しには、世界32の国と地域から総勢100組のアーティストが参加し、新作を含む作品を展示。名古屋市の愛知芸術文化センター以外にも、一宮市、常滑市など、「あいち」全体で最先端の芸術を発信する。

塩⽥千春《不確かな旅》画像

塩⽥千春《不確かな旅》2016/2019 個展「魂がふるえる」森美術館、東京
Photo: Sunhi Mang, Courtesy of Mori Art Museum ©JASPAR, Tokyo, 2021 and Chiharu Shiota

STILL ALIVE
今、を生き抜くアートのちから

テーマは「STILL ALIVE 今、を生き抜くアートのちから」。これは愛知県出身で世界的に評価されるコンセプチュアル・アーティスト河原温が、1970年代以降電報で自身の生存を発信し続けた《I Am Still Alive》シリーズに着想を得たもの。
芸術監督を務める片岡真実は、『この「STILL ALIVE」を多角的に解釈し、過去、現在、未来という時間軸を往来しながら、愛知県の誇る歴史、地場産業、伝統文化の再発見、生きることの根源的な意味などを考えます。』とコメントを寄せた。アーティストたちの力強い表現は、困難な時代に生きる私たちの「生」を再考するための足がかりとなってくれるだろう。

河原温 ソル・ルウィットに宛てた電報、1970年2⽉5⽇《I Am Still Alive》(1970‒2000)より

河原温 ソル・ルウィットに宛てた電報、1970年2⽉5⽇
《I Am Still Alive》(1970‒2000)より
LeWitt Collection, Chester, Connecticut, USA
© One Million Years Foundation

 

身体、そして生。

アンネ・イムホフ 《Natures Mortes》画像

アンネ・イムホフ 《Natures Mortes》2021 Palais de Tokyo, Paris Cast: Eliza Douglas 
Photo: Nadine Fraczkowski Courtesy of the artist and Palais de Tokyo

 

現代美術を軸としながら、舞台芸術なども含めた複合型の芸術祭である「あいち2022」の最大の魅力は、ジャンルを横断した芸術を楽しめることだ。
それが顕著に表れているのが、パフォーミングアーツ部門。ここでは、国内外の先鋭的な演劇、ダンス、音楽といった舞台芸術から、これまで現代美術の文脈で語られてきたパフォーマンス・アートまで、身体表現や五感で体感できる作品を、総括的にこの部門にまとめている。1960年代以降に花開いたパフォーマンス・アートの再演や再解釈をおこなう作品を集中的に上演するほか、最新のテクノロジーを用いた作品など、14演目*が繰り広げられる。この数は国内のアートイベントの中でも屈指と言えるだろう。さらに今回は、レクチャーやトークなども予定されており、作品をより横断的に楽しむための企画も充実している。
*最新の情報は公式サイトをチェックしてください

ラビア・ムルエ『Whoʼs Afraid of Representation?』画像

ラビア・ムルエ『Whoʼs Afraid of Representation?』2005
Photo: Houssam Mchaiemch

生きることは学び続けること。

⼩⼭友也《⼀緒に歩く/労働や余暇の⾝振りについて》画像

⼩⼭友也《⼀緒に歩く/労働や余暇の⾝振りについて》2018

この芸術祭では、さまざまな「ラーニング・プログラム」が実施される。初めて出会う現代美術は時に難解な印象を与える。しかし、作品それぞれの制作背景やアーティストの生きた時代や文化などのストーリーを学ぶことで、世界の遠い場所に住む人々、さらには世代の異なる人々の感情や意識への共感にも繋がる。
「アートは一部の愛好家のためのものではなく、すべての人がそれぞれのやり方で楽しみを享受するもの」という考え方をコンセプトの核とし、幅広い層を対象としたラーニングプログラムが予定されている。
レクチャーやガイドツアーなどのプログラムに参加して、アートを深く理解し、より特別な鑑賞体験をしよう。

類型化されてきた芸術分野の狭間に光を当てる。

地場産業、伝統工芸、食文化など固有の文化的伝統がある愛知県。海、山、川のある豊かな自然環境によって窯業や繊維業も発展してきた。しかし、近代以降それらは「工芸」として、「美術(ファインアート)」とは一線を画すものとされてきた。「あいち2022」では、その類型化されてきた芸術分野の狭間に光を当て、工芸と美術を横断する表現に注目。現代美術の文脈から文化的伝統を見つめ直し、ステレオタイプの芸術領域からの解放を目指す。他者を尊重し認め合う生き方がますます重視される中、複雑な問いに対するクリエイティブな応答を得ることができるだろう。

宮⽥明⽇⿅「こんにちは!港まち⼿芸部です。Vol.4」画像

宮⽥明⽇⿅「こんにちは!港まち⼿芸部です。Vol.4」2021
Photo: 三浦和也 Courtesy of 港まちづくり協議会

 

国際芸術祭「あいち2022」では、会期中のイベントなども多数企画されているので、ぜひ公式サイトをチェックしていただきたい。
疫病や紛争など困難が多いこの時代を生き抜かなければならない私たちにとって、この芸術祭が大きな道標となってくれることを期待したい。

画像提供元:国際芸術祭「あいち」組織委員会事務局

[information]
国際芸術祭 「あいち2022」
・会期 2022年7月30日(土)〜10月10日(月・祝)
・会場 愛知芸術文化センター/一宮市/常滑市/有松地区(名古屋市)など
・時間 施設により鑑賞時間は異なる
・チケット
①フリーパス(記名本人に限り、各会場を何回でも鑑賞可能)一般3,000円、学生(高校生以上)2,000円
②1DAYパス(入場当日限り、各会場を何回でも鑑賞可能)一般1,800円、学生(高校生以上)1,200円
※会期中、一般1,200円、学生800円の支払いで「1DAYパス」から「フリーパス」への変更可能

※中学生以下無料
※障害者手帳等をお持ちの方とその付添者1名は無料
※学校向け団体鑑賞プログラムで来場の場合、学生及び引率者は無料(要事前申込)
※パフォーミングアーツについては別途チケットが必要
※作品鑑賞パスポートの詳細に関しては下記URLを参照
https://aichitriennale.jp/tickets/index.html
・公式サイト https://aichitriennale.jp/